市民本位の健康医療に向けて

第42回(9月)定例会報告(メモ)

2011年9月28日 by KISK事務局  


第42回(9月)定例会は20日(火)、大型台風の前日でしたが、8月に引き続き、日本財団の会議室をお借りして開催しました。

1中間報告および「がんの予防と治療の市民学」

梶原 拓 健康医療市民会議代表

中間報告では、前回8月の定例会の「アロマセラピー」と「健身気功」について一言の後、今回の渡邊昌先生の紹介、10月の定例会
の案内も一言。自衛策については、10月1日に予定している市民農園候補地(千葉・富津)の見学ツァーの案内、市民農園の計画については、㈱千葉農産、理想農法研究会と当会の三者が連携して進めることなどの報告がありました。

「がんの予防と治療の市民学」について、市民学を提唱し、先般は認知症予防の「頭の健康法」を、今日はガンの予防と治療の市民学、今後サプリメント等も取りまとめ、有意の会員との勉強会も考えたい。ガンは自分で自分を守るが基本、自ら学習し選択、現場の多くの関係者との共鳴が重要。「情場」価値ある情報の創造が大切で、交流・連帯・創造挑戦。その行動と実践が重要。患者は自由、論より結果が大切。免疫力を味方にし、自然治癒力の優位を確保。五つのポイントは1生活習慣病なので生活を変える・2全身病なので総合戦略・3食事が基本の医食同源、名古屋のあと数か月の宣告を受けたガン患者の集まり「泉の会」は玄米菜食等への意思と生活の転換で9割は生存確保・4体温高める・5心身一如。意思と行動力で自然治癒力を発揮、無気力はダメ。次回はガンでは死なないための十か条を。

2「食事と自然治癒力」渡邊 昌 社団法人生命科学振興会理事長・日本綜合医学会会長

梶原代表から慶応大学医学部卒、国立がん研の疫学部長・情報研究部長、米国癌研で も学ばれ、日本の疫学の第一人者、東京農大栄養学教授、国立健康・栄養研究所理事長等 日本綜合医学会会長で自然治癒力を大切にするのは我々と全く同じとの紹介の後、精悍で崇高な雰囲気の渡邊講師からのお話が。大学院で病理学を研究。書「確定診断」を。病理では病院全体や医師の活動が手術やリンパ腺の経過等で判り全体の動きとその背景まで見える。縁の下の力持ちで全体と付合い全体が判る。病理は本道、22-3年学ぶ。死者解剖は2千体。三島由紀夫、力道山、双葉山もベットの上では皆同じ。死とはなにか。死人ともお友達。昨年6月、米エコノミスト誌にQuality of Deathの記事が。40先進国中日本23位、1位英国、最後中国。病院数の多い日本がなぜか。病理の死者の半分は医者にかかっていない。死人の顔が満足していない。医療の欠陥か。総合医療が重要。日本の医療費35兆円介護5兆円合計41-2兆円。税収40兆円。国の継続は大丈夫か。日本をどういう方向に導くか。医療村の議論では医療費制約の議論はない。政治の世界では末松義則氏、桜井充氏が頑張っている。千葉の重粒子線治療は効果あるが一台150億円・年間可能者7千人、がんの死者70万人の一割でも7万人10台必要。保険外234万円で利用少ない。米国では病院のスタッフが充実している。利用者について桜井氏は海外の金持ちのツアー利用に言及。

子宮頸がんワクチンの小学高学年と中校生公費実施だが日本では問題ないだろうか。ブラジルでのウイルス感染の背景や環境
と日本は全く異なる。続いて食事や運動量と糖尿病やがんや薬との関係についてカロリー量や数値を用いて詳しくご説明。数年前私は市民医療のディベートで患者代表の立場で議論したが、医者は薬や糖尿病などでも自己の患者のみの議論しかしなかった。5年前食育基本法が成立し、その推進委員に就任したが食育担当大臣は5人変わった。野田政権でも男女共同参画と少子化対策の担当はあるが食育担当は。「食育」の言葉は幕末福井藩の漢方医「石塚左玄」の言葉。智と才が食養に関するが智が本。Naの動性とKの静性のバランスの大切さを指摘。東大で西洋医学も学び、その後陸軍、西南戦争や日清戦争にも従軍し、乾パンや担架や竹ピンセットも考案。子供の時から腎臓が悪く40代で退役し大阪で入院するが17年生き食養学を唱え「日本養生会」を創る。食本主義(病気の原因は食事・心と血液と食事の清浄が大切)・穀食主義・身土不二・陰陽調和・一物全体を実践。その孫弟子が「桜沢如一」。母は熊野出身、本人は京都。兄弟も結核で本人も病気に苦しみ、左玄の食養生に触れ健康回復。その後貿易商として神戸商店に勤め欧州にも行き石塚を助け世界に名を広める。パリのソルボンヌ大学にも留学し食養の名を広げる。7年滞在のパリの食料品店には左玄を慕いヒッピーが沢山来て座禅。現在は60万人が座禅。桜沢は世界中で活躍。南米、スペインそして米国ボストンで自然食の商店を。世界平和活動や原子転換論等でも活躍。正食協会、CI協会、日本綜合医学会の設立にも貢献。弟子の東大法卒の「久司道夫」も米国で活動しボストンで自然食品店を開店し日本の伝統食を販売。1999年その食生活改善の活動が評価されワシントンのスミソニアン国立歴史博物館に日本人では唯一人殿堂入りを果たす。

最近、関東大震災後の玄米・7分搗き米論争の記事を見てデーターの再評価を行ったが私は玄米との結論を得た。玄米がすべてとの秋田出身の東大医の二木謙三先生の言われた玄米・小食・一物全体食が理にかなった健康長寿食だと思う。7分搗説の佐伯矩先生も20回の実験データーで食事と吸収の関係で炭水化物・タンパク質・窒素のデーターを詳細に分析されており栄養学会や栄養研究所を創られた素晴らしい先人。玄米の大切さ。宮沢賢治の雨にも負けず玄米味噌やん。現在備蓄米は作庭備蓄が2割、流通備蓄が8割だが、災害時は流通も止まるので3日は対応することが大切。備蓄は玄米、胚芽米が良い。石塚左玄の玄米菜食・一物全体主義・地産地消が大切。健康食品は日本食だ。貝原益軒の養生訓、食生活と運動で100歳を目指そう。体では腸(9m)と歯が大切。牛も4つの胃があり自然放牧すると砂嘴が入り消化が良く健康に。食の安全には医・食・農の3つの連携が大切。外国では牛のエサにホルモンを入れたり、耳にチューブをのものもあるとかの噂もある。スイスのチーズが美味しいのは山間放牧でハーブも食べ成分が良いとの話も。チベットのヤク放牧も自然を食す。日本の食事も味覚だけが表面に出ているが、予防医学や合併症(日本100人に8人)回避の観点からの総合的対応が一番大切。統合医療の推進では日本統合医療学会理事長の渥美和彦先生、国際融合医療協会理事長の広瀬輝夫先生、国際統合医学会理事長の阿部博幸先生と私が会長の日本綜合医学会があるが、一本化の議論が必要ではないかと考えている。私が理事長の社団生命科学振興会では雑誌「医と食」を出版、また自著「栄養学原論」南江堂も。私も食養学を勉強し日本の栄養学に足りないのはこれだと得心した。本年6月三島で第6回食育全国大会が開催され食養生を行っているCI協会、正食協会、久司研究所等の代表と私の会からは岩崎輝明理事長が参加したワークショップを行い、綜合食養推進協議会を結成することができた。私は次の様に考えます。 1 食養が統合医療の中核である 2 なぜ統合医療がすすまないのか。それは富士山登山と同じでは。西洋医学の医師がそれぞれ専門の一本道で頂上を目指す。アユルベーダーで登ってくる人もいる。頂上に登れば統合医療が見える。途中でやめる人もいる。退職や病気をするとその大切さが良く判る。3 統合医療の資格がない。

何をすべきか。日本に統合医療大学院を設置すべきだと思う。私も70歳余、これに協力したい。65歳以上高齢者でも働ける人は働くべきである。働く時間が少ないときは給与は下げるのは当然。私も働けるうちは働き、食養の辻説法をしたい。食養学を統合医学の中にしっかり根付かせたい。医・食・農の連携のもとに無病息災や一病息災の社会づくりを目指します。と力強く締めくくられ、会場の会員はやっぱり食事か、食養の先人は全て自己の病弱をこれで克服したのかと拍手喝采が続きます。

会場からの質問。「栄養学の運動や消費のカロリーの数値の測定はいろいろあるようだが・医師」「脳を信頼する快食療法で97%は成功しており脳の働き方が食養に関係あるのではないか・医師」「医療の村社会への対応は・米国の食事改善のマクガバン報告や造血腸管論もあるが」に対し、講師は「具体的な数値の専門的説明をされ、さらに詳しい積み上げと他との比較は雑誌「医と食」に記載」「腸脳と言われるように脳は腸の機能が進化。腸壁の神経細胞は大切、快不快や精神の高揚等の情報が神経を通って脳に伝達される」「医療村に対し予防村を創ることも大切・一般の人々が食養が大変重要だと感じ始めておりパラダイムシフトが起きる可能性が強い」とのお答えで内容の深いお話にさらに拍手喝采が続きました。

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