「21世紀市民の常識」(健康・医療)
2012年1月26日 by KISK事務局
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「21世紀市民の常識」(健康・医療) |
はじめに
(医療の限界)
「長い間、医療を担当する記者をし、日常の医療現場を見てくると、一般の人、つまり患者さんたちは医療の中身を十分に知らされていないのだな、痛感しています。
医療はとても専門的で難解で複雑になっています。しかも、医療にかかわる医師、看護師をはじめとする人たちは、患者さん側にあまり知られたくない実態―その難解さを無意識に利用しているようなところがあります。それがずっと続いて、われわれはますます医療に不信と誤解をもってきています。
病院や医師は病気をすべて治せるはずだ、というのが最大の誤解ではないでしょうか。
名医のすばらしい手術で治ることはもちろんあるのですが、それは病氣のごく一部に限られます。治る場合のかなりは、患者さん自身の回復力による自然治癒です。また、どう転んでも治らない病気は今日でも依然として多いのです。」(田辺)
日本には手術の天才のいる病院も、全く助けられない医者ばかりの病院もあり、しかも外からわからない。私は日本の医療の最大の特徴は「医療の質の無視」だと思っている。質を管理、チェックするシステムそのものもない。(田辺)
(学習と選択)
医療が万能ではないとは知っていたとしても、病氣になれば病院や医師に大きく期待したいのも人の常ではあります。問題は患者側が、どのような治療法があるか、どこの病院、医師がいいのか、調べて選ぶことです。医療は、西洋医学とその他の東洋医学や民間療法、保険診療と適用外の自由診療、適用外でも先進医療としての特別扱い、など幅広い選択肢があります。保険診療とそれ以外の診療を同じ病院で受けると保険の適用がなくなる「混合診療禁止」の厚労省ルールがあり、自由ではありませんが、がん治療などで、各種医療を組み合わせて成果を挙げている事例は多々あります。お金のことを別にすれば、患者側は自分や家族の命や生活を守るため、幅広く調べ的確な治療法を選ぶ努力が欠かせまん。
また、それをサポートする仕組みづくりも必要です。
患者にとって必要なことは学習と実践です。「やる気」です。病氣に負けない患者の気力が治療の結果を大きく左右するものです。
(病歴書)
医療は、医師と患者の協働事業(コラボレーション)です。治療効果を挙げるには、医師が患者の体質や病状について必要かつ十分な、しかも正確な情報を持たなければなりません。医師に口頭で伝えるだけでは不十分です。人によって特殊なアレルギー反応もあります。これを見逃して治療をして大事に至る場合もあります。
したがって、平素から気のついたことをメモして、それをしてまとめておくといいでしょう。家族全員の「病歴書」作っておきましょう。
(かかりつけ医)
平素から気軽に相談できる「かかりつけ医」あるいは「家庭医」を持ちことが大切です。「かかりつけ医」は臨床医学としての知識や経験が必要ですが、何よりも人間性のいい医師を選ぶことです。そして、重い病気の時に症状に応じて適切な専門医あるいは病院を紹介してくれるネットワークのある医師であるとベターです。
いい「かかりつけ医」を選ぶには、近所の評判が参考になります。薬局もある程度の情報を持っています。まずは、これはというクリニックを訪ねて診療を受け、自分自身で評価しなければなりません。相性というのもあります。自分に合わなければ、いくつかのクリニックを体験することです。
(診療科目)
専門医に診てもらう時には、症状に応じて適切な診療科目を選ばなければなりません。そのためには、自分の症状を確かめ病気の種類を推定する、「かかりつけ医」に相談する、総合病院で「総合診療科」を訪ねる、とりあえず内科の医師の診療を受ける、といったことが考えられます。「病歴説明書」に加え、現在の症状を書いた「病状報告書」を「かかりつけ医」に見てもらって相談するのがベストでしょう。
注意しなければいけないのは治療法です。たとえば、がん治療であれば、保険の適用対象となる手術、放射線治療、化学療法という三つの「標準治療」のほかに重粒子線、陽子線治療などの「先進医療」があり、「先進医療」として認められていない免疫療法、また、西洋医学ではない「代替医療」として温熱療法、栄養療法などがあり、これらの組み合わせで成功している事例も多くあります。手術で腫瘍を摘出できても再発、転移を防ぐため各種の治療法が併用されています。自分に最も適切な治療法を選ぶには医師任せではなく、自分自身で調べて試してみなければなりません。医師は案外に自分が専念している治療法以外について知識が十分ではありません。また感情的に排斥する医師もいます。特に注意しなければいけないのは抗がん剤による化学療法です。専門医が少ない上に、血液のがんなどを除き有効性に問題があり、がんで亡くなる前に抗がん剤で免疫力が低下し肺炎で死亡したりするケースも多く化学療法には慎重を期するべきです。
(名医選び)
出版社が「いい病院」や「いい医者」とガイドブックを出したり、この種の本は巷に溢れていますが、ずさんな編集もあり、無条件に信頼できません。よく確かめて参考程度にとどめるべきです。
また最近はインターネットで検索する人が増えて、これは今後とも有効な手段として発展するとは思いますが、よくチェックポイントを確かめる必要があります。
いわゆる「名医」には患者が殺到して迅速に、しかも丁寧に受診できるとは限りません。また人間性も大事な要素です。医者仲間で、あるいは信頼できる患者仲間で評判のいい、隠れた名医もいます。最後は自分で確かめることも必要でしょう。
(医師とのコミュニケーション)
治療は、医師と患者との対話の中で進められます。患者は疑問点などがあれば遠慮なく質問して理解を深めながら治療を受けるべきです。医師も納得できるような説明を尽くすべきです。でなければ「いい医師」とは言えず、他の医師に変わることも検討していいでしょう。
医師への質問は、十分理解してもらえるよう、また誤解されないよう、あらかじめ文章にしておくといいでしょう。
(検査)
検査技術が発達して各種の検査方法があります。医師、病院側に任せきりにしないで患者側も勉強して、よりよい検査方法を選択したり、検査結果を評価したりしましょう。現在は医療点数のこともあり、検査回数が過剰の傾向があります。
(セカンドオピニオン)
重い病気の場合、診療の結果によっては、他の医師や病院にも意見を求めるセカンドオピニオンが普及してきました。都会の病院では当然のこととして対応してくれるところが増えてきました患者にとっては大切な命に関わることですから遠慮はいりません。親切に対応してくれないような医師は命を預けられる「いい医師」ではないので、主治医としては不適当です。
次に意見を求める医師は、最初の医師とは違った目で診療してくれる人がいいでしょう。がんであれば、内科から外科は、外科から放射線科へ、あるいは代替医療の専門家へと、セカンドオピニオンを求めるのがいいでしょう。大切な命です、簡単に医師に「先生にお任せします」では医師も困ってしまいます。
(麻酔科医)
盲腸の手術のように簡単と思われる手術でも、局所あるいは全身麻酔をともなうものであれば必ず麻酔科医のいる病院で手術を受けるべきです。執刀医などが片手間で麻酔をかけて失敗しているケースは少なくありません。しかも命に関わるケースですから軽く考えないでください。そして麻酔科医がいても全身麻は危険性が高いので、なるべく避けた方がいいようです。
(医療事故)
命を救ってもらうために病院に行って病院側の問題やミスで逆に命を失う場合もあります。
病院のトイレを見れば分かるといいますが、トイレの汚い病院は衛生管理に問題があり、怖ろしい院内感染で抗生物質の効かない肺炎にかかって死亡することも決して稀ではありません。病院は清潔なところと錯覚している方もおおいようですが、よく衛生管理をしていても病院というところは人の出入りも多く細菌やウイルスが沢山いると覚悟して自己防衛しなければなりません。
また 春先の四月、五月は医療事故に要注意といわれます。新米の医師や看護師が診療に関わるからです。患者側もミスがありうるという前提で、よく注意している必要があります。特に春先に担当が変わったら目を光らせていなければなりません。
外国でも日本でも、医療に医療事故は避けることはできません。それを覚悟の上で、できる限り「いい病院」「いい医師」を探すほかありません。
(診療後)
一通り治療が終わったところで病院や医師の評価をして、それを「評価表」にまとめておき、次の機会の参考にしましょう。病院の施設、設備、管理状況、職員の態度、医師の能力、人間性、他の病院との連携などの項目があります。できれば、それを持ち寄って患者仲間の共有情報にしたいものです。
(事後管理)
病気を治すのは医師と患者で半々といわれます。50%は患者の自然治癒力で治すということは、患者側の努力が病氣の治癒には不可欠なのです。それには、日常の生活習慣を正していくことです。
食事、運動、睡眠の基本のほか、気持ちの安定、いい人間関係など精神面も大切です。
病院や医師を訪ねて報告することもお互いの信頼関係を築く上で必要なことです。定期的に検査することで再発防止ま適時適切に行うことができます。
(患者力)
「転んでも只では起きない」という言葉があります。せっかく(?)病気をして辛い重いを体験したのですから、その体験を活かして病氣に対応する「患者力」を高めていきたいものです。どうしたら病氣の予防や再発防止ができるか、発病した時はどのように対応するのが賢明か、などの知識、情報を蓄積して、自分や家族の健康や生命を守る糧とする。できれば友人、知人から相談を受けたときに適切な助言ができるようになる。こうして患者側市民の「患者力」が向上していけば医療全体のレベルアップにつながり、不幸な事例も少なくできるのではないか。
しかし、人間だけではなく生きとし生きるものすべて永遠ではない。心身ともに豊かに生き、安らかに最後を迎える、心構えも持たなければならない。「死」というものを前向きに考えるかどうか、それは豊かな生を楽しむことと大いに關係するのではないか。
第1 「賢い病院選び」5原則
1 医療は患者と医者の協働事業
2 まず、信頼できる「かかりつけ医」を選ぶ
3 必要な検査と適応する診療
4 自分に合った専門医を選ぶ
5 「患者力」を高める
第2 「賢い病院選び」10か条
1 積極的に「病気を治す」という強い気持ちを持とう
2 いつでも気軽に相談できる「かかりつけ医」を選ぼう
3 受診する上で自分の「病歴書」を作っておこう
4 病院に行く前に、医師への「病状報告書」を作ろう
5 受診の際に必要な医師への「質問項目」を用意しよう
6 体質や症状に合った専門医を選び治療に協力しよう
7 遠慮なくセカンドオピニオンを求めよう
8 診療が終わったら「病院(医師)評価表」を残そう
9 受診後の事後管理をしよう
10 「患者力」を高めよう
*1 「健康医療市民倶楽部」で「病歴書」「病状報告書」「質問項目」「病院(医師)評価表」のモデルを作ります。
*2 「健康医療市民倶楽部」は会則を定め、会員は日本の医療をよくするため、協力し、貢献できるようにします。たとえば
1 みだりに救急車を呼ばない
2 病院で怒鳴ったりする「患者モンスター」にはならない
3 やたらに病院回りをして医療費の無駄遣いをしない
4 病状を的確に報告して効果的な治療ができるようにする
5 生活習慣を改善して自然治癒力がより良く働くようにする
*3 以上はフェースブックのグループ機能を活用して、会員の知恵を集めて決めます
*4 「病院(医師)評価表」は「健康医療市民倶楽部」の情報センターで収集、整理して、会員に情報窓口(ポータルサイト)を通じ「いい病院」「いい医師」の情報を提供します。
第3 「賢い病院選び」の情報集め(「情報チップ」の「パッチワーク」)
1 患者の心構え
2 受診前の予備知識
3 検査と診断
4 「いい病院」「いい医師」
5 患者力
1 患者の心構え
日本の医療をよくするためには、めいめいがよき患者となり、よき受診者にならなければなりません。よき情報提供者にならなければなりません。そして医師を評価する基本は、よくわかってくれる医11師をまず探すことです。その医師が自分の問題を解決するのを上手に手伝ってくれるかどうかということです。その医師がじかに何かをしてくれるということではないことを知らなければなりません。そして、その病氣に合った医師や病院を世話してもらうことです。
そのためには、自分の健康の歴史をきちんと整理しておき、医師に見せるとすぐに飲み込めるように用意しておくことです。これから受診をされるときには、とくにはじめての場合にはたいせつでありますが、二回目以後には、前回以後はどうであったかという血圧の表、あるいは便通の具合、熱などを書いて、正確な数字で持参するというような準備を整えてから受診をすること。これがよい医師に出会うことにもなり、またその医師はそれによってますますよい医師になって、人間関係もよくなっていくのです。
「医療のことは医師にまかせておけばよいというように、いままで医療は別世界のことだ、専門家のものだというように思いすぎていて、良識ある市民が、ガラス張りで判断できるものであることを知らないがために、おまかせしたままでいたからです。それでは決してよい医療にはなりません。良識ある市民が医療の場に入り込まないと…」(日野原)
「何を自分の情報として医師に提供するかということを賢く(さとく)、自分で知識を持ちながら整理しておくということを習慣化しなくてはなりません。…
医師の側から言いますと、上手に医師にアプローチをする患者さんがおられます。それは、自分のデータを上手に持ってきて、短期間に要領良く伝えるという人です。(日野原)
他の病院に入院したようなとき、「むしろ医師はそういう報告を期待しているのです。患者の報告によって、医師は反省もしますし、高められもするのです。…」「勇気をもってその医師に話してみると、本当にその医師が評価できるのです。医師がどういう態度をとり、言動するかによって、この医師はこういう人物だということが露骨に出てきます。医師を選ぶことができるような地域であれば、その時点でみなさんは考え直さなければいけません。」(日野原)
まずは、病気にかかる前から日常的に情報を集めておきましょう。口コミやインターネットなどを利用するのも有効です。普段から病気になったときのことを考える習慣を身につけておきましょう。
診療時に医者へ、とにかく疑問に感じたことをどんどん質問することも大切です。しっかりとした知識のある医者は、難しい医学用語など使わずとも、わかりやすく丁寧に教えてくれるはずです。
そのためには、健康に関心を持ち、普段から自分の身体を観察し、仕組みを理解しておくことです。病気の対処法は色々な選択肢があります。治療方針も医者にすべてお任せではなく、一緒に考えることで最適な治療法選択できることも少なくありません。
もし、医者の説明で納得がいかなければ、セカンドオピニオンを受けると良いでしょう。
セカンドオピニオンは健康保険制度のなかで認められた制度です。誰でも簡単に受けることができます。1人目と2人目の医者に意見の違いがあると3人目の医者を尋ねる方もいますが、場合によっては悪くないと思います。(南)
2 受診前の予備知識
「医師の受診前に自分でどういうことをすべきか、その方法の一つとしてセルフチェックの手段を述べましょう。」(日野原)
(チェックポイント)
(1)体温・体重・脈拍・呼吸数
(2)血圧
(3)息切れ・胸痛
(4)むくみ・体重
(5)動悸
(6)関節の痛み
(症状)
(1)微熱
(2)頭痛
(3)めまい・たちくらみ
(4)体重減少
(5)疲れ
(6)食欲と環境
(7)気力の衰え
(8)のどの乾き
(9)便秘
自分の体の「取扱説明書」を作ろう(近藤)
私が名医を探しているあなたにぜひお勧めしたいのは、あなた自身の病気の説明書を作っておくことです。
自分の体の説明書を作るには、まず、医師の問診のやり方を知っておくとよいでしょう。医師は問診の際、まず問診から始めます。最初に確認するのは「現病歴」です。これは、今回受診する動機になった症状や体の変化についてのことです。
いつから、どのような症状が始まったのか、現在どうなっているのか?そしてどのような症状を伴っているのか?
さて、問診で次に医師から問われるのは、過去の病歴です。
病歴には次のようなことを網羅する必要があります。
1 現在治療中の病気
2 過去のアレルギー歴
3 小児の場合、伝染病にかかった記録と受けた予防接種
4 過去の入院歴
5 過去の手術歴
現在治療中の病気については
1 いつから発症したのか?
2 現在どこの病院にかかっているか?
3 どのような薬の投与を受けているのか?
4 その病気の程度の指標になるような検査値があれば、その経過
(高血圧では血圧の変化、糖尿病であれば血糖値やグリコヘモクロビン(HbA1c)の値などです。)
過去のアレルギー歴は、薬剤アレルギーと食物アレルギーに分けておきましょう。
アレルギー歴で大事なのは、次の項目です。
1 いつごろ?
2 どのような薬で?(もしわかれば、その薬剤名)
3 どのような症状が?(蕁麻疹や顔のむくみ、呼吸困難あるいはショック症状など)
小児の病歴は母子手帳などを参考にするとよいでしょう。小学生までのお子さんには小さなノートにまとめて写したおいたものや、母子手帳のコピーを渡してあげるのも良い方法です。
入院したことがある方は
1 どのような目的で?(糖尿病の教育入院、肺炎の治療のためなど)
2 いつ頃、何日程度の入院をしたか?
3 その治療の結果はどうだったのか?(無事に退院し完治した、あるいは後日再発して再入院したなど)
手術を受けたことがある方は、
1 手術を受けた病名
2 手術名(00の手術といっても、いろいろな方法があるので、できれば、「00法の胃がんの手術」など)
3 いつ、どこの病院で受けたのか?
を書いておきましょう。
それぞれについて、あまり事細かに書く必要はありませんので、簡潔に時間を追って順序立てて整理しておくとよいと思います。この作業は、きちんと仕上げるためにはかなり時間がかかります。一度に作ろうとしないで時間に余裕のあるときに整理し、手直しするとよいでしょう。
3 検査と診断
(診察をスムースに)(米山)
診察をスムースに進めるための五つの秘訣
1 紹介状や健康診断結果を持っていく
2 痛みの説明、こういえば医者によく伝わる
3 医者が病名を口にしたときはメモをとる
4 薬の名前は必ず覚える
5 書類を書いてもらうにもマナーが肝心
(何科にかかるか)(帯津)
どの科を受ければいいかわからない時は、大きな病院なら総合案内があるはずなので、そこで聞きましょう。受付のあたりに、ホテルでいえばコンシェルジュみたいな人がいるはずです。
あるいは、とりあえず内科を受診して、内科の先生に判断を仰ぐ、というのもいいと思います。
近年、「総合診療科」が増えました。総合診療科の医者は、病気を臓器に分けて診断せず、文字通り総合的に診て、自分でできる治療は自分で、専門医の診療が必要と判断すればその道筋をつけ、患者さんが心身共に健康になるよう見守ってくれます。……
専門医と総合医の両方がいて、お互いの連絡がしっかりとれている病院が理想的でしょう。
(標榜科は勝手に)(田辺)
医師は開業時に、何の診療をするかの標榜科を勝手に選べる。ずっと心臓外科にいて、大学の教授選で敗れて「しょうがない。国へ帰っておやじの跡を継ごう」と言って開業、小児科、内科、泌尿器内科、老人科、など勝手な看板を出す。もちろん、こんなでたらめが通るのは文明国では日本だけだ。
(何でもかんでも大学病院?)(帯津)
もし「頭が痛い」で大学病院に行ったら、血液検査とCT撮影は必須でしょう。患者さんにとってこんなムダな話はありません。お金も時間もかかります。
それよりは、頭が痛かったらまずは近くの開業医に相談してみる。薬局へ行って葛根湯でも買って飲んでみる。鍼灸院を受診してみる。あるいはホメオパシーの素養のある医師に相談してみる。もしそれで治ってしまえば、それでいいわけです。それでもだめだったら、はじめて開業医の紹介状を持って大学病院へ行く。それからCTを撮ればいいわけです。
大学病院は細分化された専門医の集まるところだから、非常に専門性の高い、最先端の治療を受けたいというのであれば、確かにいいでしょう。でも、果たした本当にその必要があるのか、その点をよく考えて受診した方がいいと思います。
(幅広い医療)(帯津)
帯津三敬病院という場で、身体にはたらきかける方法、心にはたらきかける方法、生命にはたらきかける方法を一人の患者さんに重ね合わせて、これを戦略的に用いることによって、何とかホリスティック医学(全体的医療)に迫ろうとしているのです。
身体・・・西洋医学
心・・・・各種心理療法
生命・・・各種代替療法
「心理療法」
カウンセリング、リラクセーション、イメージ療法、特殊なものとして、SAT療法、サイモントン療法など
「代替療法」
中医学(中薬、鍼灸、気功、食養)、ホメオパシー、アロマセラピー、音楽療法、サプリメント、丸山ワクチン、ビワ温灸など
これは私の病院で日常的に行われているものですが、このほかにも、ビタミンC大量療法とか活性化リンパ球療法、樹状細胞療法など、それぞれ専門びょういんに依頼して行うものもあります。
これらをただ場当たり的に用いるのではなく、あくまでも戦略的に用います。特に入院患者さんの場合は二人で膝を交えて話し合い、個性的な戦略を組み立てます。
(大病院には紹介状)(帯津)
どの病院でも、紹介状がなくても受診することは可能です。
紹介状は、正式には「診療情報提供書」といって、本来、それまでの患者さんの経過を伝えるためのものです。紹介状があれば、新しい病院に行ってからの診療・治療がスムースに進むので、以前かかっている病院があるのなら、そこの医師に頼んで書いてもらうにこしたことはありません。
また、近年の紹介状には、別の意味もあります。
大病院などでは、紹介状がないと「特定療養費」とか「選定療養費」などの名目で、千円から五千円くらいのお金を請求されることがあります。これは、紹介状がないと、受診に時間がかかるという意味もありますが、誰もが簡単に大病院を受診しないようにし、大病院に患者が集中するのを防ぐ意味合いがあるそうです。
(よい家庭医を)(日野原)
どなたにもよい家庭医、かかりつけの医師が必要です。よいと思われる医師を求めて、かかる病院や医院を転々と変える患者さんをよくみかけます。ところが、いくら医師を選択する自由が患者さんにはあるといってもあちこちでレントゲン撮影を受けたりしますと、レントゲンのかかりすぎになって、かえって体には悪い結果をもたらしますし、また、あちこちで血を採られますから貧血になってしまう。
(検診のデータ)(日野原)
老人が健康であるかどうかは健康診査でスクリーニングします。……若い人の正常値に比べると、お年寄りの平均値は確かに高すぎたり、低すぎたりするといっても、ある程度の高すぎ、低すぎというのは老人の寿命には関係がないのです。それなのに老人をあえて病人扱いにしてきゅうくつな食生活にもっていくことはかえって問題ではないかと思います。
人間というのは、調べれば調べるほど、普通の顕微鏡では何ともなくても電子顕微鏡で見れば欠陥のない人はだれ一人いないのです。…
しかし、その異常は深刻な意味を持たない異常なのです。無視していいことも多いのです。現に医師自身は検診を受けていわゆる異常値が出現しても、それを無視してお酒を飲んだり、外国旅行をしたりしているのではないですか。ですから、医師が自分で無視している程度に、検診を受けた人のデータも無視すればいいのですが……医師は検診のデータだけで患者を扱ってしまいます。(日野原)
(健康診断は必要か)(帯津)
健康診断では、ほんの少しでも基準からはずれると、すべて「異常」と判定されます。
「異常」にもいろいろと程度があるので、「経過観察」「要再検査」「要受診」などの段階に機械的に振り分けられるのが一般的ですが、実際には、検診の結果、少々正常値からはずれていたり、「所見あり」と書かれても、「経過観察」の判定なら、それほど気にする必要はないと思います。
だいたい「正常値」というものは、”クセモノ”で、たとえば血圧の場合、いまは上が130mmHg未満、下が85mmHg未満が正常値とされていますが、一昔前は上は150未満が正常値でした。それがそのうち140になって、いまでは130になった。この通り、「正常値」は時代とともに常に変動しているのです。
コレステロールに対する考え方も時代とともにずいぶん変わってきました。どれぐらいの量が適切なのかが問題で、その正常値は人によって意見がだいぶ違います。現在の正常値の上限220mg/dlといわれていますが、10年ぐらい前までは250でした。誰が220に引き下げたのか知らないけれど、そのおかげで220以上250以下の人は、いまでは「異常」」とみなされ、病人がそれだけ増えてしまったことになります。
私自身、年に一度、ごく一般的な血液検査しかやっていません。血液検査はさっと採血するだけで終わるし、あとは出てきたデータを自分で確認するだけで済むからです。
(医師への質問)(渡邉)
がんと診断されたら、必ず確認したい五つの質問
1 「体のどこにできたがんなのか」「その部位にできたがんなのか、他の部位から転移したがんなのか」がんの種類と進行度を説明してもらいます。
2 治療について「どのような治療法があるのか」「治る可能性」「治療期間」「治療による副作用の有無」を尋ねます。
3 「その治療法によって何かが失われる可能性があるか」を確かめます。たとえば、乳がんでは手術によって乳房を失う場合もあります。
4 手術を受ける場合、「手術の種類と成功率」「手術後の障害の程度と障害のの解決方法」入院期間や日常生活に戻れるまでの期間」を確認します。
5 薬剤療法を受ける場合は、「どのような種類の薬か」「どんな効果が期待できるか」」投与期間」「副作用とその対処法」を尋ねます。
医師の説明があやふやでインフォームド’コンセントに納得できないときはもちろん、最近、相次いで起こっている医療過誤を防ぐためにも主治医以外の専門医の意見(セカンドオピニオン)を求めることは有効です。
4 「いい病院」「いい医師」(米山)
(救急医療)
救急病院は、
1 軽症の人が運ばれる第一次救急医療施設
2 比較的症状の重い第二次救急医療施設
3 もっとも重症の人が運ばれる第三次医療施設
があり、第三次医療施設というのが、いわゆる救命救急センターです。
ただ、軽症や重症というのは、あくまでも救急隊員の判断によるので、注意が必要です。はじめは軽症に見えても、あとで病状がひどく悪化する病氣もあるからです。心筋梗塞や脳卒中まど、命にかかわる病氣が疑われるときは、がまんせず、大げさなくらいに症状を訴える方がよいかもしれません。
また、いざというときのために、近くの救急病院や救命救急センターの評判、CTやMRIなどの設備が整っているか、などを 、事前に調べておくとよいでしょう。そして信頼できる病院があれば、軽い病氣のときにでも一度受診して、カルテを作っておくとよいでしょう。救急車を呼んとき、どこの病院に連れていかれるのか?あまり救急車のお世話になりたくありませんが、いざというときのことを考えると気になります。
119番をすると、自治体が運営する消防署から救急車がやってきます。そのため、消防署がどこの管轄かによって対応が異なります。「患者さんやその家族の希望する病院があり、その病院が受け入れてくれるようであれば希望する病院へ運ぶ」という自治体もあれば「基本的に病院は選べない。一番近くてベッドが空いている病院に運ぶ」という自治体もあります。
しかし、たとえ病院を選べないといわれても、「何が何でも++病院へ」と主張すれば、ベッドさえ空いていればその病院へ搬送してもらえる場合もあるようです。命に関わるような重症のときは、行きたい病院を主張みるべきだといえます。
また、かかりつけの病院や以前に受診した病院があれば、それを救急隊員に伝えるとよいでしょう。ベッドに空きがあれば、その病院に運んでもらえることがあります。
私が医師会などで関わった先生方や教えをいただいた先生、私が指導した先生や自分が患者としてお世話になった先生たちを大雑把に分析してみると、世の中の医師は、5%のスーパードクター、30%の名医、30%の名医予備軍の医師、そして30%の普通の医師、そして5%のできれば一生関わりたくない「危ない医師」で構成されているのではないかと思っています。(近藤)
(家庭医診療の特徴)(実地医家)
かかりつけ医、家庭医についてよく研究しているバーバラ・スターフィールドさんという人は、1998年に出した論文の中で、家庭医の行う診療の特徴を
1 最初に出会うケア(ファースト’コンタクト’ケア)
何かあったときにすぐに、気軽に相談に乗ってくれるお医者さんが近くにいる、というこよはとても心強いことだとおもいます。
2 長い年月をかけた診療(継続性)かかりつけ医、家庭医の役割の中で大事なことは、継続性、つまり長い年月をかけて作り上げる診療を行うということです。過去に起こった病気やアレルギーがわかっていれば、病気の診断にも、お薬の選び方にもとても役に立ちます。
3 幅広い対応(包括性)
かぜ症状や、下痢、からだの痛みなど、よくある問題について、まずはできる限り対応し、必要な処置をした上で、紹介したり、連携をとったりといった対応を併せておこなうことが大事です。
4 みんなで協力して行う診療(協力した診療体制)
いろんな専門の先生と協力して診てもらえるような体制をとって、ふだんはかかりつけの先生に診てもらっていて、何か変化があったり、必要な検査があったりするときには協力して診てももらう、ということが必要になってくることも少なくありません。「介護」が必要になってくると、お医者さんだけではなく、ケアマネージャー、、、、いろんな人たちと協力して診療していくことも必要になってきます。
<>生命線となるかかりつけ医>(南)
日本人には、かかりつけ医の大切さを理解していない人が多いようvです。よほどの不調がない限り、病気ではないと思って生活し、病気になると救急病院に駆け込みます。その場で検査すればなんでもわかるというのは大きな間違いです。普段から見ているかかりつけ医だからこそわかることがたくさんあります。
たとえば、骨折なら診てすぐにわかりますが、腹痛を訴えている場合、考えられる原因は10も20もあります。もし、その患者のお父さんも診てきたかかりつけ医なら、「お父さんも胃潰瘍になっていたから、子どもも胃潰瘍かもしれない」と疑って問診や検査ができるわけです。
(地域の病院)(実地医家)
世間には、確かに大病院指向があります。しかし、地域の医院、病院をよく知ることが大事で、そこからが医療のはじまりです。診療所では、医師のほか看護師とも知り合って、医師の前で言えなかったり、伝えられない事などの通訳または代弁者として活用できる間柄になれば信頼も深まります。利用者が信頼を寄せている地域の病院は必ずあります。探してみてください。
(かかりつけ医の診療態度)
ヒューマンな治療態度が不可欠。(実地医家)
1 寄り添う気持ちを持ちましょう
相手と同じ立場で、悩みを共感することです。悲観的な発言の多い人には「そのくらい、つらいんだね」と寄り添うことです。
2 聞き上手になりましょう
自分が話しをするより、まず相手の声を聞き、話をよく聞くことです。できるだけ反応して、話をはぐらかさないよう心がけましょう。
3 同じ目線で話しましょう
決して高飛車にならず、それぞれの年齢、性、職業、環境に応じて態度と言葉を選ぶことが大切です。
4 必ず目を見て話しましょう。目は人間性を映し、相手を尊重していることを示す重要な体の器官なのです。
5 肯定語を使いましょう
「だめだ」,「無理」よりも「いいよ」をたくさん言いましょう。相手のよいところを見つけて、素直にほめましょう。
6 何か発見したら、一緒に喜びましょう
少しでも良くなったり、できる事が見つかったり、嬉しいことに出会ったら、一緒になってよろこびましょう。
7 いつも温和な顔でいましょう。
明るい顔がまわりを明るくし、暗い顔がまわりを暗くします。…医療人は常に脇を甘くして、常に付け入るスキを与え、ふところを深くして相手に感動を与える、ということです。
(医師のコミュニケーション能力)(実地医家)
医師になって23年、大学病院、市中病院をはじめさまざまな医療機関を経験してきましたが、一貫して痛感するのは患者さんや医療スタッフとのコミュニケーション’言葉遣いのやりとりの難しさ、奥深さです。、、、以下、とくにかかりつけ医’医療機関を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
その医師は
1 笑顔で接してくれるでしょうか?
2 しっかり話を聞いてくれるでしょうか?
3 おだやかに話していらっしゃるでしょうか?
4 患者さんに同情を持っていらっしゃるでしょうか?
5 患者さんの誤りを婉曲に指摘し、批判したりしないでしょうか?
6 患者さんの立場に身をおいていますか?いわゆる「上から目線」(これは困りますね)ではないですか?
7 患者さんの生活環境、生い立ち、家族関係などを含め深い韓信を寄せていらっしゃるでしょうか?
8 患者さんに積極的に治療に関わっていただいたときなど、心からほめたり、激励されているでしょうか?
9 スタッフと協調しながらうまくリーダーシップを発揮しているでしょうか?
10 その医療機関の他のスタッフもコミュニケーションがうまく、気持ちよくチーム医療を行っているようでしょうか?
(かかりつけ医のネットワーク)(米山)
開業医の経歴が患者さんに大きなメリットをもたらすことがあります。卒業した大学や開業する前に勤めていた病院などは、その医者のネットワークとして働くことが多いからです。開業医の持つコネをスムーズに引き出すためにも、普段からかかりつけの医者を決めておくこと、そのかかりつけ医と上手につき合っていくことが大切といえます。
(かかりつけ医の育て方)(実地医家)
まず、よいかかりつけ医になれる医者には、次のような特徴があります。
1 患者の話をいやがるそぶりを見せずに聞いている。
2 患者の目を見て話す。
3 笑顔が多い。
4 患者の気持ちを理解しようと努めている。
5 予防やリハビリテーション、福祉などに興味をもっている。
このような医者を見つけたら、次に行うことは、その医者の専門外で、自分が日頃悩んでいる心やからだの問題について診療のついでに相談してみることです。
そして次に、家族の病気や健康問題(心の問題ならさらによい)について相談し、それは専門外だといわれても、先生しか頼れる先生はいないと泣き付くのです。…こうして自分の専門外のことわ勉強することだ、知識も広がるし、患者の全体像を見る訓練になります。どんなに些細なことでも、うるさい患者だと思われようが、まず聞くことです。
また、自分が関係する会社や地域の集まりがあれば、その席で医者に話してもらうような機会を設けるとよいでしょう。最初は、その医者の得意な分野の話をお願いし、二回目以降は専門とは少し離れたようなテーマで講演をお願いします。このようなことから予防や地域活動への理解も深まってくるのです。
(かかりつけ医を探す)(実地医家)
「それでは、どうやってそういうお医者さんを見つければよいのですか?」
1 風邪や、予防接種、健康診断などでお医者さんに行く機会を利用して、よい医者かどうか、ポイントを聞いてみる。
2 調剤薬局や地域の人の評判を聞く。
3 いざという時に慌てて探し始めるよりも、機会のある時に、いいお医者さんをふだんからみつけておく。
(なっとく説明カード)(実地医家)
患者さんにとって医師が説明する病名や医学用語はたいへん難しいです。…そこで、新患の患者さんに、その場で説明しながらオリジナルの「なっとく説明カード」に病名や病気やケガの簡単な説明を書いて手渡すことにしています。項目は
病名と説明、看護師の指導、おおよその治療の見込み期間、通院の間隔、次の来院日、治療法の箇条書き、生活上の注意・アドバイス
この説明カードは、日々どんな小さな病気でもマメにお世話することを生業としている町の医者が患者さんとうまくやるためのささやかな「おまけ」であり「道具」でもあります。「易しさ」は「優しさ」と思っています。
良い医者とは、まず学問に振り回されず、患者の健康を第一に考える人でしょう。医学に関する知識を身につけ、そのために努力していることも当然挙げられます。加えて、人間としての品性、自分の専門分野以外のことにでもできる限り興味を持ち、日ごろから知識として身につけようとしていることは必要でしょう。
長年の経験の経験から、患者との信頼関係を築くためには、同じ目線に立って、共感し、相手の興味ある話題にも耳を傾け、価値観を共有することが必要だと実感しています。
名医の条件は「才能」、「努力」と「経験」であり、外科医にたいせつなものは「技術」,「道具」と「神の助け」、また患者が問いかける相談に快く応じる”ハート”をもっていなければ、どれほど多くの実績を積んでいようが「名医」とは言えない。「医者」と「医学者」は違う。
(有名医は名医か?)(近藤)
マスコミに取り上げられるだけのことはあり、メディアに登場している有名医のほとんどは、確かに優れた研究業績や実績をあげている先生で、説明や解説も上手です。でも「有名医が100%名医になりえるか」と聞かれると、必ずしもそうとは言い切れない事情があります。…
マスコミで有名になる医師のほとんどは、「得意とする専門分野の中でもさらに特定の病気に特化した業績をもっている先生」で、言い換えれば専門医中の専門医、「スーパー専門医」と呼ぶべき医師なのです。スーパー専門医であるがゆえに、専門から離れた診断や手術については、ごく普通のレベルだったり、あまり得意でないという場合が少なからずあります。
ですから、有名医にかかるメリットは、最初に総合的な診察ができる医師に的確な診断を受け、その先生の判断で「この治療の第一人者はA先生だから、A先生に紹介しましょう」といわれてこそ享受できるものなのです。
また、有名医が必ずしも名医になりえないという理由のひとつは、マスコミで一度でももてはやされた先生や病院には、想像を絶するような件数の問い合わせと受診希望者が殺到する点です。 しばらくの間、正常な日常業務が行えない。得意分野の治療にも影響が出てくる。予約を制限。
また、いくら医師が「名医」とマスコミに取り上げられたとしても、結局はどんな情報もメディアの都合に合わせて紹介されているという点に注意しなければなりません。雑誌などの名医リストは、日本全国の医師をすべてチェックした上で作られているというわけではありません。
本当に大切なのは、マスコミに取り上げられている有名医の診療を受けることではなく、あなたのもっと身近な場所で、あなたの病気を総合的に判断してくれるような名医を探すことなのです。
(「名医ガイド」は参考になるか)(米山)
巷には「名医ガイド」や「病院ランキング」といった本があふれています。どうせ医者にかかるなら、名医とよばれている人に診てもらいたい。そんな患者さんの需要がある限り、この手の本は出版され続けられるのでしょう。
しかし、名医ガイドには、医者仲間の間でもずいぶん評判の悪い医者がよく登場しています。また近所の人は決して近づかないような医者が載っていて、びっくりされることもあるでしょう。
手術をほとんどしたことがない教授が外科の名医になっていたり、なかにはお金を払って載せてもらっている医者もいます。逆に、本当に優秀な医者が掲載されるのを拒否したために、名医ガイドからもれてしまうこともあります。
これでは名医ガイドではなく「迷医ガイド」か「迷医ガイド」です。
難しい専門用語を並べ立てるのではなく、患者さんにもわかる言葉で納得がいくまで説明してくれる。そして、何かあれば自分の持つネットワークを駆使して、大学病院や総合病院を紹介してくれる。そんな患者さん本位の医療を行っている医者こそが名医といえるのです。
名医ガイドを眺めていても、名医とは出会えません。名医は自分のめと足で探すしかないのです。じっくり話を聞いてくれるか、わかりやすく納得できるまで説明してくれるか、派手な経歴や肩書きにくらべると地味かもしれませんが、名医の条件としては、そういうことが大切なのではないでしょうか。
(医師との相性)
大切なのは、自分の個性を知り、医師の個性を見抜き、相性の良い「名医」を見つけることなのです。あなたにとって相性の良い人間というのは、あなたに不足している優れたものをもっていたり、あなたの欠点を補ってくれたり、あるいはあなたが求めていたるものを何かもっていたりするはずです。ですから、自分に合う、本当の「あなたの名医」を探すには、まず「自分がどんな先生を求めているか」を知る必要があります。
タイプA このタイプは、普段から自分の健康に気をつけていて、病気を予防しようとする意識がとても高い人です。
タイプAの方は、健康情報や体に関する知識が豊富ですから、医師にしっかりした知識を求めますし、時には有名な医師の診察を受けたいと思うこともあるかもしれません。しかし、本来このタイプに合うのは、健康増進のためにあなたがしている取り組みを認めてくれたり、代替医療などにも幅広い知識をもって理解を示してくれたりするような柔軟で幅の広い考え方の医師です。
タイプB「医師に対するブランド意識が強いあなた」
タイプBの方は、病気に限らず、普段からとても研究熱心で、勉強熱心です。病院のかかる場合でも、あらかじめインターネットや本などで病気についてよく調べ、しっかりした知識をもって医師の診察に臨む、という方が多いでしょう。
タイプBの方には、開業医よりも病院勤務の医師が合っているでしょう。また、単なる勤務医よりも、病院の院長や診療科の部長、大学病院の教授、助教授などにかかるほうが安心できるという方が多いのではないでしょうか。
タイプC「体調に不安を抱えているあなた」ご自分の体の状態に対する違和感が強く、現在の自分の健康状態に不安をを感じている方です。もともとあまり体が丈夫でないとか、過去にがんなど重病を抱えたことがあるなど、自分の健康状態になかなか自信がもてない方が多いようです。
タイプCが求めているのは、小さな違和感の訴えも真剣に聞いてくれる医師です。
体の不調に対する不安が多い患者さんは、一般の医師からは「不定愁訴」として一言で片付けられてしまうことがあるのですが、この場合はあまり検査などを行わないため、患者さんには不満が残ります。このようなタイプCの患者さんに合っているのは、ずばり「総合軫タイプ」の医師です。
医療が専門分野に分かれすぎて「同じ内科でも循環器専門家は消化器の病気は診ない」というような状況がある中で、特定の分野に偏らず、医療の基本に立ち返って、人の体を総合的に診察するのが、総合軫です。
総合軫の医師というのは、常に総合的に患者の体を調べ、その不調の原因を迫り、治療やアドバイスを行ないます。…常に総合的に患者の体を総合的に調べ、その不調の原因に迫り、治療やアドバイスを行ないます。総合軫を行なう医師は、「ひとつの事象を見てひとつの方向で分析し、診断をくだす」というような単純な診断や治療は行ないません。総合軫を行なう医師は、あなたの訴えのひとつひとつを吟味しながら、そらぞれの重要度を評価し、いくつもある選択肢の中から消去法で可能性を消しながら、的確な答えを見いだそうとしてくれます。原因が複雑で複合しているような場合にも力を発揮します。
タイプD「とても真面目で心理的な不安感が強いあなた」
体の具体的な不調よりも、健康そのものに関する漠然とした不安が強く、とても生真面目な性格で、時に抑うつ状態に陥りやすいタイプだと思われます。
タイプの方にお勧めする医師は、最新の設備をもっているとか、迅速で的確な診断に定評があるちいった医師ではなく、時間をかけて丁寧に診察し、心理的な面でまあなたを支えてくれるような、優しい開業医タイプの医師です。
あなた・自身がもし、「自分は体の不調よりも、心の悩みのほうが大きいかもしれない」と感じるのであれば、心療内科や精神科の医師、あるいは精神科の心得のある内科の医師をひとり、かかりつけ医として確保しておいてもいいでしょう。精神科の医師にかかることに抵抗感をもつ方もいますが、心の悩みが原因で体調不良を起こせば、それは巡り巡ってさらに大きな心のストレスになります。そうならないためにも、早めに精神科の医師に相談することが大切なのです。
(こんな医者は避けるべし 十か条)
”あんあたらしい生き方”ができるよう、医者と上手におつきあいください。ご参考までに、私流の「こんな医者にはかかりたくない」十か条を記させていただきます。
1 有名すぎる医者は避けるべし(その先生に診療してもらいたい、あなただけではない。よやくまちが半年や一年はざら)
2 「いつでも連絡してください24時間、私が診察します」を売り物にしている医者は避けるべし(24時間365日、一人で診療体制を敷ける医者はいない)
3 「専門外ですからわかりません」といって取り合ってくれないいしゃは避けるべし(専門外でわからなければ、わかる医者に紹介すべき)
4 「私が”すべて”診てあげます。心配要りません」と明らかに専門外の分野にまで手をのばす医者は避けるべし(自分一人で何でも抱え込んでしまい、重大な疾患を見逃す恐れあり)
5 コンピューターの画面ばかり見て、患者さんの顔を見ない医者は避けるべし(医者である前に、人間としての常識に欠けて可能性が高い)
6 自己犠牲の精神が旺盛すぎる医者は避けるべし(自己管理に疎かで、自分が倒れたらどれだけの患者さんに迷惑がかかるか考えず突っ走る傾向あり)
7 経済的なことばかり考える医者は避けるべし(「医は算術なり」ではちょっと困る。「三途の川も金次第」では悲しい)
8 リップサービスの多すぎる医者は避けるべし(心の中では適当に仕事を早く片付けたいと思っている可能性が高い)
9 感情移入が多すぎる医者は避けるべし(診断にバイアスがかかる可能性がある)
10 生理的に”キ’ラ’イ”と感じる医者は避けるべし(どんなに評判の良い医者でも、嫌なものは嫌!自分の気持ちに正直に)
(嫌われる患者、好かれる患者)(実地医家)
嫌われる患者さんは、たびたび時間外に来る。いつも時間ぎりぎりに来る。予約の時間に来ない。混んでるのに話がくどい。認知症の老人お一人で来させる。肌着が汚い。髪が不潔。口臭がする。すぐには治らない病気を「早く治せ」と、無理を言う。受付で偉そうな口をきく。金で解決しようとする。礼を言わない。仏頂面をする。暴力的(これは言葉の暴力を含みます)。
好かれる患者さんは、笑顔がよい。行儀がよい。質問をメモしてくる。些細なことにも礼を言う方です。「医師は治療を、患者は養生を」。医療は医師と患者さんの共同作業だということをお忘れなく。
「よい医師、望ましい医師について……私がアメリカのメイヨー・メディカルセンターで得た情報があります。それは次のようなものです。
(1)病歴が問われて診療がされているか
(2)患者の質問に答えてくれるか
(3)診断の内容を説明してくれるか
(4)患者が持って行ったデータや資料を医師がよく見てくれるか
医師の条件を四つほどあげましたが、本当によい医師ということで忘れてならないのは、「自分の守備範囲を心得ている人」だといえましょう。…
よい医師とは、何でも知り、何でも診断でき、どんな手術もできる医師ではない。…”何でも診断できる”ではなく”私にはこの診断はできない” “私にはこの手術は無理だから”と言って「これができるのは++病院ですから、こちらの検査データを添えてそこへ紹介しましょう」と言われる医師は高い評価を与えてもよい医師です。(日野原)t
有能な臨床医は、幅広いちしきや、その知識に裏打ちされた十分な経験をもっているものですが、さらに良い医師になるには、経験に慢心せず、医学の進歩に常に目を光らせる研究心や、専門外の分野でもある程度の基礎的な知識を身につけ、常にブラッシュアップする向上心も必要です。また、医師の本領として、治療の技術力も欠かせません。外科であれば手術の腕であり、内科であれば薬の匙加減がこれに相当します。
そして、これらの基本的な能力に加え、名医に必要だと私が考えるのが、
1 インタビュー力
2 プレゼンテーション力
3 チーム力
4 忍耐力
5 包容力
6 ネットワーク力
7 説得力
の七つです。これらの力を兼ね備えていればいるほど、医師の力は高いと考えていいでしょう。
もちろん、私自身を含めて、この名医の条件となる七つの力をすべて兼ね備えていることは、ほとんどありません。また、このような要素は、医師の専門分野によって特に強く求められるものも変わります。例えば、時間との戦いである救急医療の現場では、これら七つの力に加えて「判断力」や「決断力」が必要になりますし、精神科の患者さんを扱う精神医療の現場では、患者さんに寄り添うための「包容力」が最も重要になります。(近藤)
その1-1 インタビュー力の高い医師の特徴
*診察室に入ると医師のほうから先に「こんにちは」などと挨拶してくれる
*あなたの答えに何か必ず反応してくれる
*イエス、ノーだけの答えにならないよう質問してくれる
*答えを一つ一つ確認しながら質問を進めてくれる
1-2 インタビュー力の低い医師の特徴
*コンピューター画面やカルテから顔を上げず、目を合わせて話さない
*一方的に質問を重ねるか、または逆に質問が少ない
*あなたからの質問を無視することがある
*あなたの答えに対して無反応なことがある
その2-1プレゼンテーション力が高い医師の特徴
*説明用のプリントなどを用意していて、それを使って説明してくれる
*説明しながらこちらが理解しているか確認してくれる
*難しい専門用語や解剖学用語を使わないで説明してくれる
*図に書いて説明してくれる
*わかりゃすい例えなどを用いて説明してくれる
*年齢や理解度などを見て、説明の内容や説明方法を変えてくれる
*必要に応じてゆっくり話してくれる
*たとえ相手が子供や高齢者であっても、親だけでなく本人に対して直接説明しようとしてくれる
その3-1 チーム力が高い医師を見分けるポイント
*治療時に積極的に看護師に意見を聞いている
*時には冗談を言ってその場の雰囲気をなごやかなものにしている
*スタッフに仕事を頼むときに、命令口調で言わない
*スタッフを通じて医師に依頼した内容がきちんと伝わっている
その3-2 チーム力に問題のある医師を見分けるポイント
*患者さんが見ている前でも、スタッフに対して感情的な発言をする
*ドクターのそばにいると離れているときで、スタッフの態度がまったく違う
*スタッフの質問に対して嫌そうに答えている
*スタッフに命令口調で指示を出している
その4 忍耐力に問題のある医師の特徴
*必要以上にまくしたてる
*せかせかと歩く(緊急性があれば、走っても構わないのですが)
*人の話をしばしば遮って話し出す
*貧乏ゆすりなど、イライラしている動作をする
*「忙しい」を口癖にしている
*絶えず時計を気にして診療している
*患者の話を聞いていない
その5 包容力のある医師の特徴
*患者さんに対して威張った態度を見せない
*患者さんが医師の指示を守れていないことがわかっても、粘り強く指導しなおしてくれる
*医師(病院)側に何か落ち度があった場合は、素直に自分のミスとして認め、謝罪してくれる
*患者さんの意見や事情を積極的に聞いてくれ、尊重してくれる姿勢がある
*患者さんの間違いやごまかしを見つけたときに叱るのなく、それをきちんと説明した上で修正しようとする
*他の医師のミスでも、その先生に責任を押し付けるのではなく、自分で背負う
その6 ネットワーク力のある医師の特徴
*紹介状を書くときに複数の紹介先を挙げてくれる
*院内の他の先生の情報をよく知っている
*個人的に紹介先のデータベースをもっている
*学会に積極的に参加している
*複数の学会の会員になっている
*開業医なのに複数の提携先医療機関をもっている
その7 説得力のある医師の特徴
*複数の治療法のメリット、ディメリットを提示し、比較して説明してくれる
*その上で、「私はこの方法を勧めます」と医師が勧める治療法も示してくれる
*治療や手術方法について、「私が同じ立場だったらこうします」とか「あなたが私の肉親だったらこうします」と、患者側の立場で考えを述べてくれる
*あなたの決定をせかせず「ご家族と相談してみてください」などと考える時間を与えてくれる
*あなたが迷っている場合に、期限を切って決断を促してくれる
*緊急性のある治療に関しては「00しか方法がありません」とはっきり伝えてくれる
(ネットで高める「患者力」)(田辺)
医療の専門家である医師に比べ、患者さんのちしきはずっと貧しかった。それがインターネットで一変する。自宅のパソコンと世界中のコンピュータを通信回線で結び、いながらにして無数のじょうほうをうることはできる。
日本インターネット医療協議会(理事長 =辰巳治之 ・札幌医科大学教授)事務局長の三谷博明さんは「「患者力」を高めるには、インターネットが不可欠」と強調する。「患者力」とは、患者さんが情報をもち、自分の病氣のケアに主体的にかかわる力、といった意味だ。
(インターネットの使い方)(近藤)
あなたは医師を探すとき、まずどんなことをしますか?よく知っていそうな人に聞く、電話帳で調べるなど、様々な方法がありますが、最近で最も多いのは「インターネットを使う」という答えではないでしょうか。
インターネットで医師の情報を得ることには、いくつかのメリットがあります。
そのひとつは、現地に行かず、医師に会わなくても、ある程度その医療機関の雰囲気を確認することができるということです。
インターネットを使う二つ目のメリットは、施設の情報を比較できることです。現在、各病院のホームページには検査機械や設備、対応している処置や手術の種類、その症例数、医師の詳しい経歴、病気に関する説明、診療に対するポリシー、予約制の有無、よくある質問への答えなど、患者さんが知りたい情報が掲載されるようになりました。患者さんがホームページの内容を見て、その病院の本質を見極めるということは、なかなか難しいことではありますが、中でも次の四つは、比較的に医師や病院の個性が表れやすく本質をつかみやすい点ですので、紹介しておきます。
1 挨拶文
病院やクリニックのホームページには、たいていの場合「院長からの挨拶」などの文章が掲載されています。挨拶の文章からはその先生の人となりや診療に対する姿勢がにじみ出ているもので、この部分を比較してみるだけでも、医師のイメージや、病院の雰囲気をつかむのに役立ちます。挨拶文に共感できるか、文章に個性が表れているか、診療に対するモットーはどのようなことか、表現が医療機関として品格を保っているか、などの観点で読んでみましょう。
2 経歴
クリニックなどのホームページには、医師の簡単なプロフィールが含まれることがあり、ほとんどの場合、出身大学や職歴、研究者としての履歴、所属学会などが記載されています。プロフィールを公開しているということは、医師が自分の仕事にせきにんをもっていることの表れであるといえますし、プロフィールを公開している先生のほうが安心感があるはずです
3 わかりやすさ
ホームページの病気の解説に専門用語が羅列されているとか、説明の例えがわかににくい場合には、注意が必要です。ホームページは、これから受診するかもしれない潜在的な患者さんとの接点の場です。その大切な部分で難解な用語を平気で使うということでは、その医師の表現力に疑問が残ります。
4 ホームページの情報は万能ではない
最後に気をつけていただきたいのが、ホームページの情報は、医療情報、医療機関情報の宝の山ですが、決して万能ではないという点です。ホームページでの情報発信に消極的な先生の情報にアクセスするには、口コミの情報を集めるほうが効率的でしょう。ホームページの情報が万能だと過信してしまうと、名医との出会いを逃してしまうこともありますので、くれぐれもご注意ください。 良い口コミにしろ悪い口コミにせよ、口コミの情報は大変参考になるものではありますが、過信することは危険です。口コミの情報は参考程度にするとして、やはり大切なのは、その先生に直に会ってみることでしょう。そして、その先生の話を聞いて自分の印象で公平に判断することが、名医探しの大切なポイントのひとつだと思います。
(良い医者を探す)(帯津)
一般の患者さんが良い医者を探すには、どうすればいいか。まず、近所の人の評判や、いわゆるクチコミみたいなものは、あんまりあてにならないと思った方がいいでしょう。一人の偏った考えだったり、たった一度の印象などで語られてしまうこともあるからです。
それよりは、医者や医療関係者などが良い病院を紹介する本がいろいろ出版されているので、こちらの方が参考になると思います。
たとえば「医者がすすめる専門病院」(ライフ企画)は、私もアンケートに答え、自分が良い医者だと思う人を推薦しています。……私が読んでみて、ほかの人が推薦している医者を見ても、納得できる人が多いですね。ほかにもこうした本は出ていると思いますが、きちんとした基準で編集されているものは一つの参考になるでしょう。
あとはやはり、実際に病院に行って、その雰囲気を感じてみること。そして、直接先生に会って一度受診してみるしかありません。先生が良くても病院の雰囲気が合わない、という場合もあり得ます。
直接話してみて、なんとなく分かり合えるような気がする、この感じがとても大切。それがまったくわいてこないようだたら、別の医者を探した方がいいと思います。
(「いい病院」,「いい医者」を見抜くための六つの秘訣)(米山)
1 事務員が白衣!? 事務員の態度をチェックする
医者には医者の、看護師には、看護師の、事務員には事務員に適した制服があるはずです。そういう基本的なことができていない病院は、患者さん本位の医療を行っているとは思えません。
2 「トイレ」「待合室」「椅子」をチェックする
設備が整っているかどうかも、「いい病院」選びの重要なポイントです。ただし、ここでいう設備とは、高度な医療設備があるかどうかではありません。待合室やトイレといったもっと基本的な設備のことです。トイレがきれいだろうが、汚かろうが、医療技術には関係ないのでは?と思われるかもしれませんが、トイレの清掃状況をきちんと管理できないような病院は、衛生管理もずさんな可能性が高いといえるのです。
3 廊下で医者をよく見かけるかどうか
病院の廊下や待合室では、ほとんど医者を見かけない病院があります。このような病院は、「診療室は医者の舞台」というかなり先進的な考えを持った病院かもしれません。
4 病院従業員という意識があるか
大きな病院になればなるほど、大勢のスタッフが働いています。医者や看護師はもちろん、心電図やレントゲン、血液検査などを行う検査技師、リハビリなどを行う療法士、薬剤師、さらに事務を行う人など、それぞれの部門のスタッフの協力があってこそ、医療が成り立ちます。もはや、医者ふぁ一人で医療を行える時代ではないのです。
しかし、そういう意識がまだまだ低いいしゃがいて困ります。
5 書籍、論文、医学記事等で医者の考え方がわかる
これからかかる医者が開業医ならば、近所の評判から考え方や人格などを知ることができます。しかし、大学病院のように大きな病院の場合、まったく情報がありません。
そんなときは、医者がどこかで考え方や意見を発表していないか探してください。大学病院や大きな病院の医者は、たいてい論文を発表していますし、医学雑誌に原稿を書いたり、本を出していることもあります。
6 「いい医者」「ダメ医者」はここでチェック
「名医」という言葉が「名高い医者」を意味するのなら、論文で名声を得た医者は名医といえるかもしれません。しかい、患者さんにとっての名名医とは、臨床の現場で病気を治すために尽力してくれる医者のはずです。
臨床医がまずやるべきことは、患者さんの話をよく聞き、患者さんが納得するまで説明することです。両者の間に信頼関係が成り立ってこそ、いい医療が生まれるのです。いくら腕がよくても、患者さんの意見や質問を受け付けず、ろくに説明もしないような医者は、決していい医者とはいえません。
また、医者は謙虚でなければいけません。何でもわかったふりをして、適当に答える医者よりも、わからないことはわからないとはっきり言ってくれる医者のほうが信用できるといえます。
しかし、医療がここまで進歩し、複雑化した今、医者が一人で医療を行う時代ではありません。これからは、自分の命とお金を守るために、患者さん自身がどんどん医療に参加していくべきなのです。話も聞かず、説明もせず、ただいばっているような医者は、患者さんの医療への参加を阻もうとする、まさに「ダメ医者」です。
いい医者は相手に委ねるだけでは見つかりません。患者さん自身が目を開き、耳を澄ますことが大切です。
(医師のエリート意識)(帯津)
医者と患者が良好なコミュニケーションで結ばれるためには、まずお互いに対等であることが大切です。ところがそうじゃない医者が実に多い。なぜでしょうか。
まず、医者はどうしても主役になりたがる性質を持っています。日本の医療の現場は、医者を筆頭に看護師や薬剤師、栄養士、心理療法士、検査技師、鍼灸師などさまざまな職種の人間がいますが、医者は自分がそのてっぺんにいると思って患者さんを見下している。そして、素人に対して我々プロフェッショナルが知識と技術を施すのだと思い込んでいるのです。
医者が患者さんに敬意を払わない最大の理由は、そのエリート意識にあります。エリート意識不明があると人は傲慢になって、表情も態度も悪くなります。これでは患者さんは萎縮して何も言えなくなってしまうのです。
そんな医者に対して、私がもっとも言いたいのは「もう患者さんを悲しませないでください」というこtおです。患者さんを癒すはずの医者が患者さんにさらなる悲しみを与えていたら、これはもう医療になりません。手術や薬の前にまず、患者さんに悲しみを与えないことは、医者として最低の条件だと私は思います。
(手術の執刀医)(帯津)
手術が決定したら、日帰りなどでできる簡単なものを除けば、何日か前に入院することになるでしょう。病状や手術内容によって違いますが、一般的には三、四日前でしょうか。
入院してからは、検査を一つ一つこなしてもらいながら、必要に応じて薬を服用し、手術に向けて体調を整えてもらいます。その間、病院側では、執刀医や看護師、麻酔科の医師らが患者さんの検査結果と状態をよく観察し、準備を進めます。
そして、手術のニ、三日前に、担当医は手術についての詳細な説明をして、最終的な患者さんの同意を得ることになります。いわゆるインフォームド・コンセントです。いまどんな状態で、どんな手術をするのか、後遺症などの危険性はあるか、一般的に予後はどうかなど、一つ一つ説明が進みます。
この時、患者さんは、手術方法や後遺症の危険性などについてしっかり話を聞くことや、不安や疑問があったら聞いてみることも大切ですが、それより何より、「この先生なら自分を任せられる」という感覚を得られるかどうか確認することが、一番大切ではないでしょうか。
種術の説明を受けていて、どうにもそういう気持ちになれない、不信感ばかりが募るようでしたら、手術はお断りした方がいいと思います。患者さんの立場だとなかなかそこまで思い切れないかもしれませんが、手術というのはやはり一大事。どんな手術だって死ぬかもしれない確率はゼロではないのです。自分の身体、命を任せるわけですから、人間的にも信頼がおけないような人に任せるべきではありません。
たとえ前日であってもとりやめて、ほかの病院にかかりなおすことも可能です。手術にのぞむ患者さんは、それぐらいの気持ちであってもいいと私は思います。
(医者の説明と患者の納得)(米山)
これから手術を受ける病院に対して、「あれこれ聞くのは失礼ではないか」と躊躇されるかもしれませんが、医者にとっては、はっきり疑問や不安を口にしてくれる患者がありがたいものです。納得できないことわそのままされると、あとあとトラブルになりかねないからです。
患者さんのなかには、医者の説明を右から左へ聞き流し、「はいはい、すべて先生におまかせyします」という”ああなたまかせ”の人が少なくありません。しかし、そういう患者さんに限って、あとになって「こんな話は聞いていない」と、医者とトラブルを起こすのです。こういうなりゆきを医者はもっとも嫌います。
どんな手術でも、成功を100%保証されるものではありません。ですから、十分納得して手術を受けるためには、やはり危険性を数値で聞くことが大切といえるでしょう。
ただし、手術の成功率というのは、病院によって。さらには担当する医者によっても違ってきます。自分が手術を受ける病院での成功率を聞きことはもちろん、手術を担当する医者の経験数や成功率も確認しておくべきです。
また、手術にともなう危険というのは、手術中に起こる事故やミスだけではありません。どんな手術でも合併症の危険がありますし、何らかの後遺症が残る場合もあります。また、手術そのものがうまくいっても思ったほど症状が改善されないこともあります。合併症や後遺症の危険性、治療効果ついても十分に説明を受け、納得した上で手術にのぞんできださい。そのために危険性や効果を数値で聞くことは、決して失礼にはあたりません。むしろ、病院側はそういったデータを積極的に公開すべきであり、いま、医療はそういう時代になりつつあります。
(外科医は55、56歳で引退)(帯津)
手術には四つの力が必要です。すなわち
1 「大局を見る力
2 「体力」
3 「集中力」
4 「視力」
です。
「大局を見る力」とは、ぱっと診てどうすればいいかを咄嗟に判断する力で、これはまだ自分にあります。しかし、体力と集中力は若い時に比べると落ちました。手術は6時間以上に及ぶものもあるので、充分な体力と集中力がないと、とても無理なのです。
また、手術において視力が大切なのはいうまでもないでしょう。
さらに、執刀医は手術が終わった後もしばらくの間はずっとその患者さんのことを責任持ってちゃんとみてあげなければいけません。そういうことができるのは年齢的五十代の前半ぐらいまででしょう。
だから、法的に決められているわけではありませんが、五十五、六歳になったら外科医は引退した方がいいと、一般的に考えられています。
(麻酔科の医師)(帯津)
いまでは外科医が直接麻酔をかけることはまずありません。手術前にラウンドといって、麻酔科のいしが必ず診察します。麻酔に関する細かな説明をし、患者さんを安心させ、手術後も全身の状態を確認して対処します。
麻酔があるからこそ手術ができるわけですが、麻酔にはリスクがつきものです。薬が合わないと、急に心臓や呼吸が止まったり、激しいアレルギー反応が起きることがあります。全身麻酔でなくても、塗り薬や注射薬タイプの麻酔剤でもリスクはあります。
実際には麻酔で重篤な状態になってしまう可能性は決して高いわけではありません。そうした事態が起きないように、麻酔科の専門医がよく問診して、事前にできる限り調べてから薬を選びます。
(麻酔科医のいない手術は最も危険)(米山)
手術中の医療事故のなかには、麻酔関連のものが少なくありません。
そもそも麻酔には、大きく分けて二つの種類があります。
まず一つが、メスを入れる部位の周辺に麻酔薬を入れて、その部位のみの感覚をなくす「局所麻酔」
もう一つが、痛みを感じる部位である脳の機能を抑える「全身麻酔」でし。全身麻酔では痛みを感じないだけでなく、意識もなくなるため、恐怖心を感じたり、手術中の記憶が残ることもありません。そのため、局所麻酔でも行える手術を「全身麻酔で」と、希望される患者さんがいますが。麻酔によって眠らされている状態は、実は死と隣り合わせであることを忘れてはなりません。
(セカンドオピニオン)(帯津)
咳が止まらないとか、病院に通っているのにいっこうに良くならない、ということもあるでしょう。そういう時は、別の病院を受診してみるのも一案です。それほど深刻な病気でなければ、セカンドオピニオンという大げさなものだはないので、いちいち医者に断る必要もないと思います。
でも、がんなどの深刻な病気の診断やその治療法についてほかの医者の意見を聞きたい時は、主治医に黙ってほかの病院に行くことはおすすめできません。その場合は、「◯◯病院にセカンドオピニオンを聞きに行きたいのですが」と切り出しましょう。
東京など都会の病院はかなり開けてきているので、問題が起きることはすくないはずです。必要な書類の用意など、医者も病院も慣れているでしょう。
ただ、残念ながら地方にはまだ、機嫌を悪くする医者もいるようです。患者さんにとっては不愉快なことだと思いますが、命にかかわる大事なことです。臆せず、はっきり「セカンドオピニオン」と言ってください。日本にはまだまだ精神的にも幼い医者が多いのが現状です。
セカンドオピニオンを聞いたら、元の主治医に報告しなければならない、という決まりは特にありません。そのまま二人目の先生の病院に移ってしまった、という人も結構います。その場合は、新しい担当医が、前の
担当医に対して郵便などで事の次第を報告するのが一般的だとおもいます。
病院選びの注意点(近藤)
* 国公立病院、大学病院
急いで病院にかかる場合、「知名度が高いから」と病院名だけで選ぶと失敗することがあります。こういうことが起こりやすいのは、特にこくこうりつの病院や大学病院です。これらの病院はたとえ名医がいたとしても、その先生の考え方が病院全体の運営に反映されているとは限らないからです。小回りの利く私立の病院と比較すると、設備面でも人材の面でもどうしても劣ってしまうことがあります
* 病院機能評価
病院を選ぶ際に参考になりそうなもののひとつに、財団法人・日本医療機能評価機構という公益法人が行なっている、病院機能評価があります。この団体の評価を受ける病院は、や医療関係者などが良い書類審査と訪問調査が行なわれ、中立的な観点から、病院の管理体制、地域における役割をになっているか、患者の安全が確保されているか、その他、チーム医療のための組織の運営方法など、様々なチェック項目において審査されます。そして、基準を満たしていると判断されると、認定証と認定マークが発行されます。現在、全国の病院の約三割がこの制度の認定をうけている。
しかし、この認定結果を盲信するわけにはいきません。その理由は二つあり、ひとつは、この評価は、その評価は、その医療機関が自ら申請しなければならない。有名な大学病院の中にも、この認定を受けていない病院がたくさんあります。
二つ目は、この病院に対する評価であって、医師の技量に踏み込んだものではないということです。この認定基準はその病院の医療の水準とイコールではないという点に、注意が必要です。
* 「医学博士」とは
医学博士というのは、「医学博士という博士号を取得した者」ということです。大学との関連をもって仕事を続けながら、真面目に学術的な研究を行なっていたという証しです。その先生の臨床医としての手腕の直接的な裏付けにはなりません。
* 所属学会
そもそも学会とは、各診療科目の医師が研究のために集まった集団ということで、各診療科にはその診療科ごとに学会が存在します。所属学会を見ればその先生がどのような分野に興味をもっているのかをうかがい知ることができますので、名医選びの際にチェックしておきたい項目のひとつであると思います。
(病院選びの注意点)(帯津)
*トイレ
良い病院かどうか見分けるのに簡単な方法の一つが、トイレです。トイレが広くていつも清潔であることは、もっとも大事なじょうけんの一つです。トイレが臭い、汚い、数が少なくて落ち着いてできないというのは、精神的にも身体的にも患者さんにとって非常に良くありません。
(ソーシャルワーカー)(帯津)
入院にからんで医療以外で何か困っていることがある場合は、医療ソーシャルワーカーに相談してみるといいでしょう。
医療ソーシャルワーカーの存在はまだよく知られていないようですが、入院している患者さんの経済的問題から仕事や家庭の問題、精神的な問題に至るまで、幅広く専門的な知識で相談に応じてくれ、あす。いまは多くの病院で医療ソーシャルワーカーが活躍していて、患者やご家族のための相談窓口が設けてあるところも増えてきました。
5 患者力
(領収書の点検)(米山)
領収書をもらったら、その日自分はどんな医療を受けて、その医療にはいくらかかったか確認してみてください。そして、あきらかになっとくできないときは、申し出るべきですし、疑問に思うことがあったら質問するなり、調べるなどして、自分が支払う医療費の中身を正しく把握するべきです。
これからの医療は受け身だけではいけません。よりよい医療を受けるためには、患者さん自身が医療を選択していかなければならないのです。そのためにも、まずは医療や医療費の仕組みを正しく理解することが大切です。
(医師が敬遠しがちな患者さん)(米山)
自暴自棄な患者さん
投げやりな患者さんを説得するのは、医師からすると、とても骨の折れることなのです。
感情的になりやすい患者さん
代表的な例は、順番が遅いと文句をいう患者さんです。
医師の前だけで従順な患者さん
受付で看護師を罵倒していた、というような人もいます。
モンスターペイシェント(自分勝手な患者)
本来の意味は、医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求をし、果ては暴言、暴力をくり返す患者や、その保護者などを意味する表現です。
病院がうれしいと感じる患者さんや、その家族
医師に対して協力的な患者さん
医師やスタッフからの説明を真摯に受け止める患者さん
スタッフに対して感謝を忘れない患者さん
謙虚で明るい態度の患者さん
多忙な医師や他の患者さんに配慮してくれる患者さん
医師に好かれる五つの態度
1 挨拶をしよう
2 医師の話をきちんと聞こう
3 医師の話を信じよう
4 ある程度の待ち時間は受け入れよう
5 自分の病状をきちんと説明しよう
(医師とのいい関係)(米山)
医者といい関係を築くための六つの秘訣
1 たまにちょとだけ医者をヨイショする。
2 ほかの医者の悪口をいわない
3 通い続けることは医者に対する信頼の意思表示
4 外来が混んでいなければ、プライベートな話をしてみる
5 「1回に飲む薬の量をご存知ですか?」やたら薬を出す医者に効くセリフ
6 「先生なら、この手術を受けますか?」手術マニアの医者に効くセリフ
(医師への連絡)
医師の側から患者さんに望みたいことは、よくなったときの連絡が忘れられていることです。悪くなると連絡をしたり、よその医師にかかったり、よその病院に入院したりするけれども、よくなった場合のことが忘れられていることが多いのです。(日野原)
(意志力、行動力、環境)
人間が病氣になるか健康であるかは、その人の行動が大きな役割を演じます。そして、病氣になる場合というのはその人の行動がどのような環境の中でされているかによって決まってきます。…
どの程度に私たちが努力するかということだけでなく、じぶんじしんをどのような環境の中に置くかということで私たちの健康は決まって行きます。学校においても、どのような友だちを持っているか、どのようなクラブ活動をするかと環境によって、学生像は変わってきます。望みどおりの学生になるのか、あるいはそうはいかないかは、意志力、行動力と、環境によって左右されるのです。
(病氣の三つの形態)
1 遺伝性(生まれつき)の病氣 生まれながらにおこる宿命的な病氣
2 悪い環境による病氣 空気汚染、農薬、飲料水汚染などによる病氣
3 自分でつくる病氣=習慣病 塩分、糖分や動物性脂肪の摂りすぎ、食べ過ぎ、タバコなどが原因で高血圧、糖尿病、心筋梗塞、気管支炎、肺がんなどになる。
私たちの健康というのは、たとえネガティブな遺伝子があっても私たち自身が私たちの運命を健やかにつくっていけるのです。それには私たちにもっともよいライフスタイルを自分に取り入れて、それを実践する。そして、その実践行動の中に多くの友だちを引き入れることが人間全体を健康にします。…私たち人間のヘルスの究極は、心の健康です。そのために、できるだけからだを大切にしようということです。そういうことがもっと人びとに徹底されて、人びとがそういう意味において行動的にならなくてはなりません。(日野原)
(賢い患者)(田辺)
医療はみんながしんじているほど完璧ではない。「いまは自分で情報を集めて決め、自分がリスクを負うしかない。社会にその支援システムがほしい」と東京大学大学院客員教授(医薬経済学)の津谷喜一郎さんはいう。
病気や健康は自分のもの。医師や病院任せにしないで、説明を求めてきちんと判断できる「賢い患者」をめざしたい。
(自己治療の勧め)(田辺)
日本人は安価に医療を受けられる保険医療制度のおかげで、欧米人の数倍も医師にかかっている。しかし、不必要な医療や、利益よりも害のある薬が多いことも事実なのだ。たいていの日本人はあまりにも善良で、医療を過信しすぎている。
いつまでも健康である秘訣は、治せる病気、苦痛の取れる急性の病気は早めに医師にかかるべきだが、慢性の病気、いわゆる生活習慣病はまずは生活改善で予防し、安易に医師にかからないことだ。
病気は、ある程度進行してしまうと、いまの医療ではほとんど治らないばかりか、間違った医療でかえって苦しむことになる。
予防、および軽い段階の病気は自分で治す、というのがセルフメディケーション(自己治療)だ。
(豊かな生と死)(矢作)
人が病気になる原因として、体質、ストレス、生活習慣など、様々なことがいわれています。しかし、救急医療の現場で、日々人の生と死に立ち会う我々医師にとっても、本当のところはわかりません。情けないことながら、わからないことだらけというのが実情です。人は必ず死ぬ。長時間にわたって呼吸や心臓が止まったり身体がひどく損傷したりすると死ぬ、その程度しか確実にいえることはありません。ましてや、人の本当の寿命などわかるはずもありません。…
生命というものの複雑さや不思議さを思い,「生きる」ことと同時に必ずやってくる「死ぬ」ことについて、我々人間はもっとしっかりと見つめることが必要なのではないでしょうか。我々は、死想い、生きることの意味、人間の存在意義を理解することによって、豊かな”生”と”死”ということについて手がかりをつかむことができるのではないか。
生命は我々が考えるほど単純ではないこと、医療でできることはごく限られていることを一般の人に理解していただき、自分の命を人任せにせず自分自身で労わってほしい。
人間の知識は微々たるものものであること、摂理と霊魂は存在するのではないかということ、人間は摂理によっていかされ霊魂は永遠である。そのように考えれば日々の生活思想や社会の捉え方も変わるのではないか。
<参考図書>
砂原茂一「医者と患者と病院と」(岩波新書)
田上幹樹「それは患者の責任です」NHK出版
日野原重明「健康を創るヒント」時事通信社
帯津良一「医者と病院は 使いよう」青春出版社
米山公啓「手遅れにならない 医者選びの常識」法研
近藤義之「名医選びの ソムリエ」PHP研究所
田辺功「かしこい患者力」(よい病院と医者選び11の心得)西村書店
実地医家のための会「命をあずける 医者選び」保健同人社
医療評価ガイド取材班「迷ったときの 医者選び」角川SSコミュニケーションズ
南和友「解病」ACHIEVEMENT. PUBLISHING
松原英多「病氣にならない 家庭の医学」三笠書房
関根今生・牛山允「症状でわかる 医学百科」主婦と生活社
主婦の友社「病院の 検査数値 早わかり ハンドブック」主婦の友ポケットブックス
中川恵一「がんの秘密」朝日出版社
平岩正樹「副作用のない 抗がん剤 治療」二見書房
はにわ きみこ「親が がんと わかったら」文藝春秋
渡邉昌「食事で がんは 防げる」光文社
シャーロット イリオパウルス「現代医療の治療効果を高める 補完代替医療」産調出版
菊谷豊彦「漢方 DE 元気百科」保健同人社
上野圭一「究極の民間療法ガイド」東洋経済新報社
がん治療 これから どうなる」日本経済新聞社
川渕孝一「日本の医療が危ない」ちくま新書
佐藤幹夫「ルポ 高齢者医療―地域で支えるために」岩波新書
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