21世紀型健康医療市民学シリーズ vol.8
2012年5月25日 by KISK事務局
21世紀型健康医療市民学シリーズ
⑧
「気力」の高め方
[健康医療市民倶楽部]
梶原 拓
(健康医療市民会議・代表)
(全日本健身気功国際連盟・会長)
(国際介護予防センター・会長)
「心身機能活性療法指導士」
2012・05・22 健康医療市民会議定例会配付資料
第1 「統合健康法」は
1 「クラウド」健康法(心)<脳内の共用ソフト「クラウド」がコントロール役>
2 「類人猿」健康法(体)<体の進化は未だ「野生」の段階>
3 「親和力」健康法(気)<人は集団、自然、宇宙との「関係」の中で生かされている>
の三点セットで、
「心」「体」「気」の三面から「脳力」「体力」「気力」を高め、総合的・相乗的に「自然治癒力」や「自己治癒力」を強化し、病気を予防し、あるいは病気の回復を早めることを目的とする新たな健康法の「市民学」である。
また、先に発表した「若返りの法則」の「五則」では
1 「情報力」(脳力の衰え)
2 「代謝力」(酵素・善玉菌の減少)
3 「ホルモン力」(ホルモンの減少)
4 「免疫力」(白血球の減少)
5 「変身力」(気力の衰え)
それぞれの補完と強化が課題となる。人間の細胞はすべて遅くても1年以内に入れ替わるので、所要の対策を打てば十分に「戸籍年齢」より10歳から20歳若い「心身年齢」を保つことができる。
このうち最も重要で基本となるものであるが、一般の人が会得しにくいと思われている「気力」の高め方について、なるべく簡易に効果が挙がる方法を考えてみることとしたい。「気力」こそが「脳力」や「体力」の基礎となる。「気力」があってこそ「強く生きる」ことができる。また、「脳力」「体力」を鍛えると「気力」も強くなる。さらに、「気力」あってこそ「情報力」「代謝力」「ホルモン力」「免疫力」が強く機能するものである。
「気力」を高めることで、健康な人でも仕事、学業、スポーツ、レクリエーション、趣味、あらゆる分野でレベルアップが期待できます。ぜひ試してください。
第2 「気」の存在
1 「気」は万物共通の宇宙エネルギーである。現代物理学によれば宇宙に存在する物質の究極は「波動」だとされる。「気」も波動である。
2 「気」の存在は種々の科学的実験により認められ(水の電気伝導率の変化など多数の実験結果あり)、一種のエネルギーであるが、その実体は未だ解明されていない。
3 「気」の種類は一つではなく複数と思われる。種々の「気」の作用による物理的・化学的変化は様々である。量子物理学では「意識」も物質を変えるという。元々、東洋の思想は「心身一如」である。<心には力がある><心の働きは「波動」>
4 「気力」は意識(イメージ)で「変性意識」(脳波の変化)(アルファー波、シーター波)を深めて右脳を鍛えることで強化できる(イメージトレーニング)。幼児は右脳が働きやすい。幼児のように素直になる。「論理」でなく「感性」。本来の「潜在力」を拘束している常識や既成観念を捨てる。瞑想~呼吸~リラックス~暗示でイメージに方向性を。
第3 「気」の出し入れ
1 人間は誰でも「気」の出し入れをしている。
2 「気」の出し入れは、原始的な機能を有する「皮膚」および、その発展した延長線上の「肺」で行われている。これらから発している「気」が全身を包み「オーラ」を形成していると言われる。
皮膚では、経穴と経絡が「気」の出し入れにか関わっている。特有の間歇的な波動を発している。
3 「気」の出し入れに関しては、脳は、左脳(論理脳)ではなく右脳(感性脳)(イメージ脳)が働いている。右脳は「癒し」のときに最高に働く。
両手の指先に「気」が集まる。指と脳(運動野・感覚野)は連動し、指の動きで脳の血流が増え右脳の活動も活発化する。
4 自律神経系の中で唯一、意識でコントロールできる呼吸が「気」の出し入れで重要な役割を果たしている。(瞑想法、坐禅、ヨガ、気功、催眠術、武術すべて呼吸法を最も重視する)。呼吸の調整を訓練することで意識の下の「気」を操作できるようになる。
5 誰でも「気」の出し入れはしている。
目を閉じて両手の平を近づけると相互にピリピリと電流のようなものを感じる。手の平が温かくなる。両手の間隔が大きく開いても「電気」のようなものを感じれば「気力」が高まった証拠である。その間隔の大小で気力の強弱を測ることができる。
コーヒーカップにコーヒーを入れ、その上に手の平をかざし回すとコーヒーの味が変わる。不味い味になる。酒の類は、まろやかな味になる。
など普通の人でも体験できる。
*手の平からエネルギーを発するので、ヨーロッパではオランダなどで「気功」や「手かざし」が医療として保険で認められている。米国では指先で顔、指、上半身の「ツボ」を軽く叩くヒーリング「タッピング」が普及しつつある。日本でも、昔から手を体に当てて癒すことを「手当て」と言われてきた。指先を使う「指圧療法」、手の平を使う「マッサージ療法」もある。
「気」には、いろいろあるが、一般には、人を吹き飛ばすとかスプーンを曲げるような超能力は必要ない。お互いに「気力」で「癒し・癒される」能力を高め、人も自分も「精気」「活気」を得て「元気」になる程度で十分である。「基礎的な気力を高める法則」を修得できればいい。
第4 「気」力を高めるには
1 先ずは、「気」のエネルギーを高めるのだから、基礎的な体力を保持する必要がある。
暴飲暴食など不摂生は妨げになることは当然。
「満腹」は血流が胃腸に偏るなどして「気」を弱める。腹八分目以下に。食材にも「気」があるので、常に「感謝」して食べる。
「脳疲労」「ストレス」も「気」を弱める。太陽の光を浴びる(セレトニン)、散歩などリズムのある運動、五感(いい景色。いい匂い、いい音楽、美味しい食事、マッサージ)で楽しむ。夜12時~2時 熟睡(セレトニンがメラトニンに)。眠る前30分は「のんびりタイム」に。
2 「癒し・癒される」能力を高めるには、方法がある。
先ずは、「気」の存在を信じることである。「気」の存在を疑っていては、どのような方法を試みても効果はでない。人間は「頭」で考える以上の結果は出せない。常に「気」を意識していると、「意識下」「無意識」に定着する。<習い性となる>
3 「気」は常識や理屈でなく感覚や感性の世界、「考えるな、感じろ」(Dont think! Feel!)(中国武術)(ジャッキー・チェン)
4 「気力」を高めようという意思、意欲を持つこと。<志は「気」の帥なり>(志を立てることが「やる気」の元)(「動機付け」が必要)「気」は高められると信じ自己暗示をかける。「目的」「目標」をたてること。
5 「気」の呼吸法 静かに吐く~吐くに任せる~吸うに任せる~出づるに任せ、入るに任せる 先ずは一日15分から始めてみる。
6 感受性を高める。素直に「感動」する。「笑い」と「涙」
* 自己暗示の練習 首から肩へと緊張を緩める。呼吸を深く静かに。体の中が「暖かい」「涼しい」「重い」「軽い」などと暗示する。目の前に両手を差し出し「手が開く」「手が閉じる」などと暗示をかける。
7 「気」を高めるには、リラックスと集中が必要。
リラックスは「気」を入れるとき
集中は「気」を出すときに
「気」を高める効果がある。両方の並存もある。
8 「気」は出すことにより、間をおいて「こだま」のように「気」が返ってくる。「出す」と「入る」のバランス、「恒常性」保持の宇宙原理が働く。<「気」は出せば「気」は入ってくる>
9 「気」は電気のプラス・マイナスのように
正気」(「精気」)と「邪気」
「陽気」と「陰気」
「強気」と「弱気」
それぞれ対(つい)になって存在する。
「正気」や「陽気」を出せば、「正気」や「陽気」が入ってくる。ただし、「見返り」を期待して「気」を出しても、プラス・マイナスが相殺されて効果は出ない。「善因善果」
「邪気」や「陰気」を出せば、「邪気」や「陰気」が入ってくる。「悪因悪果」
10 「気」の出し入れによって「眠れる遺伝子」が目を覚まし総決起(励起現象)して「奇跡」を生むこともある。愛情のこもった「精気」を溢れるほど注入されれば遺伝子にスイッチが入る。<心の環境が遺伝子の「ふるまい」を変える> 親の愛情で病気の子どもが奇跡的に快癒する例もある。 宗教的な「祈り」が奇跡を呼んだ例は少なくない。
第5 「気」の発信
1 「正気」や「陽気」を発するには、
先ず自分が輝く光(オーラ)に包まれているとイメージし
対象に向かって「心」(意識)を集中すること。
望ましい相手の姿(病気が治って元気な様子)を「イメージ」する。なるべく詳細に。
優しく相手の目を見る。
肩をタッピング、握手などスキンシップ
相手を想って祈る。<「愛」も「気」><「愛」は集団を保つための本能><愛もエネルギー>
表情も笑いも、眼差しも、言葉も、手や足の動作も、いずれも「気」を発信しているが、より良い、より強い「気」を発するには、それなりの工夫と努力が要る。
言葉は「言霊」。「有難う」は万能。「褒める」のが最高。「大変だったね」「がんばったね」「えらいね」それで相手の「脳がよみがえる」<人を幸せにする人は幸せになる、それが自然の法則><愛されたければ、人を愛すること>
人を褒めるには
(1)「具体的に」褒める。
(2)「すかさず」褒める。
(3)目標は「低く」
2 邪念を払い集中力を高めるには
「一点集中法」 白紙に描いた黒点を見つめる ローソクの火を見つめる
「一音集中法」 楽器のトライアングルや「おりん」の音に聞き入る
などの方法がある。(脳は「無」にすることは難しく、「何か」に集中すれば、「脳」は「単線運転」(「複線」ではない)なので他の雑念は排除できる。)(「気功」などでは体の「動き」に集中)(座禅では与えられた「公案」に集中)「瞑想とは心を洗うこと」。楽しいことを極めることが「極楽」。
オマジナイ、呪文、魔法の言葉を持つ。念仏、マントラ。折にふれ自分の好きな言葉を「つぶやく」。「意味不明の言葉」のほうがいいという考えもある。習慣化すると意思から無意識レベルにつながり効果は抜群。
* ヨガや坐禅のように厳しく修行する道もあるが、一般向けには100点満点でなくても60点ぐらいで「癒し・癒される」能力を高める程度で十分ではないか。
* 自分で自分を癒すには、もう一人の「本当の自分」(禅でいう「主人公」)がいるとして 「本当の自分」から「今の自分」を癒すようにイメージする。(実際に、人間は正と邪、善と悪、愛と憎しみなど二重人格相互の相克の中で生きている)
* 「自己気圧法」 正しくリラックスした状態で指先を体に当て具合の悪い場所に心(気)を向けるだけ。やがて患部に血液が流れ始め暖かくなる。無理な力を出さない、揉まない、点でなく「流れ」を考える。(米国の「タッピング」も同様)
第6 「気の受信」
1 「気」を受け入れるには、「気持ち」を安定しなければならない。「気持ち」が騒いでいては「気」は入ってこない。<明鏡止水>
(1) <緊張を解く>四点 奥歯を噛み締めない 呼吸は深く 手の親指の力を抜く 体の重心を胸からお臍の下(臍下丹田)に下げる。
(2) <雑念を払う>三つの「ない」 自分を責めない 人と比較しない 過去を思い出さない。<「執着」を捨てる><悩みの96%は取り越し苦労>
雑念を排し何かに集中できる人は「気力」も強い。
「心」は乾いたスポンジのように吸収力を。雑念の「汚水」で膨れたスポンジではダメ。「いい気」である「清水」が入るよう受け皿は空にしておく。
「青い鳥」は、いま(Now)ここ(Here)にしかいない。過去にも未来にも、どこにもいない(Nowhere)。「心」の整理をしておかないと「気力」は集中できず、注がれた「気」も拡散してしまう。
(3) <副交感神経優位に>三つの「り」 動作は「ゆっくり」気持ちは「ゆったり」笑顔で「にっこり」 (「太極拳」の「ゆったり」した動き)
(4) 「好きな音楽」を聴く、「レモン」など好きな香りを嗅ぐ、好きな鉢植えの植物を傍に置く 水晶もいいといわれる。 金属類は身に付けていない方がいいともいわれる。
(5) 周囲・環境から「気」を受ける。「気」の発信力も高まる。
1-お互いに「肩たたき」「タッピング」などで「気」の交流
2-「類は友を呼ぶ」 気の合った人たちとグループ活動をする。「朱に交われば赤くなる」 <「消極的」「陰気」「弱気」は「敬して遠ざける」>
3-神社・仏閣などパワーポイントにたたずむ。神仏を拝む、祈る。
4-野外に出て川のせせらぎや風の音に耳を傾け、花や緑の香りを楽しみ、自然との一体感を感じる。北向きがよいともいう。<全身で天地自然の「気」を呼吸する>
5-太陽や月の光を浴び、星空を仰ぎ、宇宙の中で「生かされている」ことを実感する。朝日や上弦の月がいいといわれる。<人間は天地自然と一体である>
2 マイナスの「気」から身を守るには
邪気、陰気など、マイナスの「気」が向けられたら
自分の周囲は、全方向に向いた鏡に囲まれているとイメージする。この鏡がマイナス・エネルギーを跳ね返してくれると心の中で念じる。
反発して「怒らない」。<短気は損気>
第7 武術等から学ぶ
剣術など長い歴史のあるものやタッピング、イメージトレーニング・メンタルトレーニングのように特に米国中心に発達した新しい考え方・技術に共通していると思われるのは、我々の視点からではあるが、
-1 呼吸法(自律神経の操作)
-2 イメージ法(右脳の訓練)
-3 経穴・経絡と指先(「気」の流れ)
の三点ではないか。
1 武術(図1)
武術において「気」が重要であることは共通の認識ではあるが、「気」の鍛錬の具体的な方法論にふれた解説は殆どない。(師弟間で秘伝として口頭で伝授されたのであろうか)。ただ白陰禅師の坐禅による「内観の法」を実行して武術の妙締を得た人は少なくない。「内観の法」は「イメージ法」と「呼吸法」である。この「イメージ法」を鍛錬することにより「右脳」が働くようになり、また、「呼吸法」を修練することにより、意識で自律神経系を調整し、本来自律系の「気」の操作ができるようになったのではないかと、推察できる。
「気力」を高めることにより相手の「気」を読み、それに「同調」し、「反発」して、機先を制し「イメージ」で瞬発的に切り込み、あるいは太刀を受けることができるようになる。それが現在は「合気道」に引き継がれている。
武術から「イメージ法」や「呼吸法」が偉大な力を生むことを学ぶことができる。
2 「タッピング」(図2)
米国、そして英国、ニュージーランドで普及しつつある「タッピング」。顔、手の指、首の下のスポット・経穴を手の指二本で1秒間に2回ほどのリズムで軽く叩く。同時に短い言葉(センテンス)をつぶやく。施術者(プラクティショナー)にやってもらってもいいし、自分でやってもいい。有効なスポットはタッピングしながら反応のいい箇所を探しだす。
「深い呼吸法」を加味している方法もある。スポット探しにOリングテスト(「筋肉テスト」と称している)を活用している例もある。
*「Oリングテスト」両手親指と中指で輪をつくり組んで、いいスポットにプラクティショナーが指を当てていれば輪を引っ張りあっても解けない。弱いスポットでは輪が解ける(日本人で米国にて活躍中の大村博士が開発)
タッピングは、「気の流れ」をよくして、主として心の悩みから生じる心身の不調を癒すのに有効。事例証拠は数多く実証されている。
タッピングを経験することにより「気の流れ」や「気力」の存在を確認できるし、自分自身や相手方の「気力」を高めることができる。実践的な学習法である。
* 「センテンス」例
~わたしは絶対に勝つ
~今は本当のことがわかっている
~そのことは、もう気にしない
~それは、もう乗り越えた
3 「メンタルトレーニング」(図3)
科学的にスポーツをトレーニングする「メンタルトレーニング」の知識と技術は米国で発展したきた。「科学」を重視する国柄ではあるので、「頭脳」「心」「精神」の面からスポーツ力を高める方法を体系的・組織的なプログラムに仕上げている。その中で「イメージトレーニング」が中核的な役割を占めていて、このプログラムは「気力」を高めるプログラムにそのまま応用することができる。
(メンタルトレーニング・プログラム例)
-1「自己分析」
-2「メンタルトレーニング」を行う理由の理解
-3「やる気を高める」 目標設定
-4「セルフコントロール」 姿勢で気持ちをチェック 心拍数や脈拍の確認 呼吸法の確認とコントロール 音楽の利用(呼吸法、イメージ、リズム、集中力)
-5「心理的スキル」の活用 リラクセーション イメージトレーニング 集中力 プラス思考 セルフトーク
-6「試合のための心理的準備」
(附)「珠拾いもイメージトレーニング」
*劉超・全日本健身気功国際連盟理事長には、「健康医療市民倶楽部」の「市民健康道場」の一環として、3ヶ月の短期で修得できる初心者向けの「気力を高める教室」の開催を企画していただいています。
(参考図書)一部
佐々木茂美・電気通信大学教授「気のつくり方・高め方」ゴマブックス
藤平光一「気の呼吸法」幻冬舎文庫
沢井淳弘「やさしい瞑想法」プレジデント社
生月誠「自分を生かす自己催眠法」講談社現代新書
七田誠「脳の未来学」学習研究社
鈴木昭平「子どもの脳が どんどん良くなる」KKロングセラーズ
村上和雄「遺伝子が目覚める瞬間」サンマーク出版
千葉康則「人は「無意識」の世界で何をしているのか」PHP
横倉恒雄「脳疲労に克つ」角川新書
有田秀穂「脳からストレスを消す技術」サンマーク出版
米山公啓「できる人の 脳が冴える30の習慣」中経出版
ウイリアム・レーネン「幸運力が高まる生き方」中経文庫
ひすい こたろう「心にズドン!と響く「運命」の言葉」三笠書房
植西聡「話し方を変えると「いいこと」がいっぱい起きる」三笠書房
甲田光雄「現代医学の盲点をつく」西会本部
吉丸慶雪「合気之術の科学」ベースボールマガジン社
ロベルタ・テムズ「タッピング入門」春秋社
高妻容一「メンタルトレーニング」ベースボールマガジン社
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