市民本位の健康医療に向けて

市民学シリーズ vol.10 「うつ予防法」その2

2012年7月19日 by KISK事務局  


市民学シリーズ「うつ予防法」その2

2012・07・17

健康医療市民会議代表 梶原 拓

1 「うつ予防法」五則

第 1 <精神医学は発展途上>「うつ病」をはじめ精神疾患については、未だ原因は未解明で、治療法も開発途上である。しかも治療には薬剤の誤用、多剤大量処 方による副作用など多くの問題点が指摘されている。精神医学は米国では心理学学会から公式に批判を浴び、精神病棟では青年や壮年の死亡者が多発して問題と なっている。したがって、「うつ病」などが疑われたときは、安直に医師を選び「お任せ」しないで、患者側も慎重に医師を選択し、治療法もチェックすべきで ある。

「うつ病」患者は、前兆や予告なく自殺するケースが少なくない。したがって遺書もないのが通常である。壮年期で子どもが小さい場合もあり、深刻である。したがって、予防対策は急務。患者側の責任も大きい。

第 2 <「うつ病」は生活習慣病>精神医学は発展途上であるが、「精神」という特殊性に拘るあまり藪の中に迷い込んでしまったのではないか。「精神」を「神 秘的」と見るあまり、「木を見て森を見ない」で「たこつぼ」に閉じこもっている。「精神」を司る「脳」も臓器の一つで胃腸と同じ。胃腸は食物の消化システ ムであり、脳は情報の処理システム。生活習慣、特に対人関係の疎遠、歪み、摩擦が脳の情報処理システムの故障の原因となっている、食事も原因の一つ。脳の 炎症とかハードの故障もあるが、情報処理のソフトの運用が正常性を失うケースが多い。情報処理の共用ソフト「クラウド」の構築やその作動にミスが生じてい る。

人体には、ホメオスタシス(恒常性保持機能)が備わっている。そして「自然治癒力」

も働く。臓器の一つである脳に故障が生じたときも、こうした機能が稼働するのも当然

のことである。

脳 の再生は脳の血流を増やすことで促進される。脳の血流を増やすには、大脳の運動野の過半を占める口や手の指の運動が効果的で、平衡感覚を刺激する歩行は小 脳を活性化する。こうした手足の「運動療法」が、認知症対策と同様に、脳の再生には有効である。もちろん「うつ」の予防に最適である。

第3 <「脳疲労」を防ぐ>脳は「快」を好む傾向が強い。逆に「不快」を嫌う。「強制」を好まない。いい景色、いい匂い、快い音楽、美味しい味、気持ちの良いマッサージといったような五感から快感を覚えると、脳はリラックスできる。逆の刺激はストレスとなり脳は疲労する。

このように五感を刺激して脳に快感を与え脳を癒す「快脳」療法も「うつ」の治療や予防に有効である。

また、当然のことながら、仕事から離れスポーツなどを楽しむこと、脳の休息が必要である。肉体労働と違い頭脳労働の場合、体は動かした方がよい。

さらに、十分な睡眠も不可欠である。このため昼間、太陽光に当たりセレトニンを体内で産生させる。夜はメラトニンとなり熟睡できる。寝る前に「ぬるま湯」にゆっくり浸かることもプラスになる。

第 4 <脳には栄養補給>脳も他の臓器と同じで食物を消化してできた物質(脳内物質)で構成されている。脳が必要とする物質が十分に確保されているかどうか によって脳の働きが変わってくる。脳内物質のバランスが保たれていれば脳は正常に働く。そのバランスが崩れたら(脳内物質のインバランス)脳の働きは異常 となる。

「分子整合精神医学」 脳内物質のインバランスを正す医学

脳内物質として補完すべきものは

マルチビタミン

マルチミネラル

必須脂肪酸

アミノ酸

ブドウ糖

などがあるが、必要なものは個人差がある。体質や生活習慣で異なる。

第 5 <生活環境を変える>「うつ病」や精神疾患は対人関係の不協和から生じる。家族や友人との人間関係の不協和音が脳の情報処理に不調を招く。会社や組織 の仕事の関係で摩擦や行き詰まりがあると思考が停止するなど情報処理に異常をきたす。したがって、私的な人間関係や会社などの仕事関係でストレスが溜まら ないように生活環境を変えることが必要である。あるいはストレスを解消できるよう生活習慣を変えなければならない。一つの方法としては、家族や仕事を離れ た趣味を同じくする人たちとのグループ活動がある。「新型うつ」の若者は社内では元気がないが、社外では生き生きと友達と楽しんでいるといわれている。会 社をサボりたいのだと一方的に非難できない。血縁、地縁、そして最近では「社縁」も薄れ、時代は「友縁」を重視する方向に向かっている。従来は会社が家族 的で、好悪は別にして、お互いに人間として深く幅広く付き合い、その中で悩みや苦しみが癒されてきた。そういう「隠れ家」が失われつつある。その新たな 「隠れ家」として利害関係のない友人とのグループ活動がクローズアップされてきている。

2 「うつ予防」10か条(自分向けに選ぶ実践項目)

第1条 食べ物は30回以上噛んで食べます。気がついた時に手の指で「じゃんけん体操」をします。

第2条 毎日、45分以上散歩します。なるべく一定のリズムに合わせて歩きます。

第3条 食事は野菜。穀物、大豆、肉類、魚などバランスよく食べるよう心がけます。

第4条 ときにはマルチビタミン、マルチミネラルなどのサプリメントを摂ります。

第5条 定期に休養をとり、体を動かし、脳を空っぽにします。

第6条 昼間20分は太陽の光を浴び、夜は11時までには就寝します。寝る前に「ぬるま湯」に入ります。

第7条 なるべく、いい景色、いい匂い、いい音楽、美味しいものを選び、楽しみ、脳をリラックスさせます。ときにはマッサージも受けます。

第8条 人間関係で摩擦が起きたときは、発想を替え、新しい関係を求め、ただ徒に辛抱しないこととします。

第9条 仕事以外の関係で友人を広げ、グループで楽しく活動します。

第10条 もし「うつ病」を疑われても、慎重に医師を選び、処方についてはセカンドオピニオンを求めます。

3 (参考図書)「その1」の参考図書の一部を再掲

以下いずれもPHP新書より

生田哲「心の病は食事で治す」

「分子整合医学」を実践するクリニック

新宿溝口クリニック 新宿区新宿3-12-7 小守ビル1階

TEL 03-3350-8988

FAX 03-3350-6998

マリヤ・クリニック 千葉市稲毛区小仲台6-12-16 グランドウインズH-1F

TEL 043-287-2624

FAX 043-287-2610

笹塚クリニック 渋谷区笹塚1-52-6(2F)

TEL  03-3377-1254

FAX  03-3377-1616

サプリメントの入手先

国内では、アサヒビール薬品、味の素、大塚製薬、キッコーマン、キリンビール、サントリー、大正製薬、武田薬品工業、ツムラ、DHC、ファンケル、森永製菓、ロート製薬など。

大野裕「「うつ」を治す」

岡田尊司「子どもの「心の病を知る」児童期・青年期とどう向き合うか」

斉藤環「社会的ひきこもり」終わらない思春期

香山リカ「「私はうつ」と言いたがる人たち」

和田秀樹「老人性うつ」気づかれない心の病

岡田尊司「統合失調症」その新たなる真実

丸橋賢「心と体の不調は「歯」が原因だった!」

以上

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