第56回(11月)定例会報告(メモ)
2012年11月26日 by KISK事務局
11月の定例会は、20日、おなじみの国際医療福祉大学大学院にて開催。代表の市民学シリーズは、個別化、オーダーメイド健康法のシリーズの第2弾で、東洋医学的アプローチで、体質のタイプ別健康法を報告。また、講演は、初めて介護についてのお話を、介護施設経営大手、株式会社ウイズネットの副社長髙橋利憲様から「介護施設の現状と課題」のお話を聞きました。
1 市民学シリーズ第14弾・個別化健康法2
「体質のタイプ別健康法・漢方とアーユルヴェーダ」梶原 拓 健康医療市民会議代表
前回は「オーダーメイド健康法」の1「血液型別健康法」を話したが、今回は漢方とアーユルヴェーダの体質別の健康法を話す。西洋医学は病名を特定し対症療法で対応するが。
「漢方」は、漢方薬の対応などの診断と処方を「陰・陽」「虚・実」「気・血・水」の区別でだいたい決める。「実」は肥満を想像すると理解が簡単。一見丈夫にみえるが、漢方では病邪も体内に充満するが、これに拮抗する精気や体力は充実してバランスがとれているとみる。筋肉が発達している人、首の太い人、お腹の肉が厚い人、会議での積極的発言者など。これらには病魔を追い出すための「瀉剤」を出す。「虚」は非常に細い人で、冷え症や疲れやすい人。筋肉の柔らかい人、首の細い人、お腹の肉がぶよぶよしている人など。胃腸が弱く、甘いものが好き、冷たいものは好まない。体力が低下しているので「補剤」を使い体力を充実させる。
また、生体のもつ性質で「陰・陽」に分ける。「蔭」は、汗が少なく、寒がりで冷え症の人など、「陽」は、汗が多く暑がりの人、のどが渇き冷たいものが好な人など。虚実は病気に対する抵抗力をはかる尺度で、陰陽は生体の持っている性質を指す。
さらに漢方の腹診では虚実の判定と「気・血・水」の判定が主となる。「気」とは、元気は体のなかの生来もっている気がめぐっているためと考える。気は動きはあるが目には見えない。気落ちは気がどこかで止まった。食道神経症はそこで気が滞った状態。咳き込み、くしゃみ、のどのつかえも気の異常。「血」は血液が停滞するために起こる状態。主として静脈血で。痔核は痔の静脈血の、食道静脈瘤は食道部の静脈血の血液のうっ血です。うっ血した血液を「おけつ」という。「水」は水毒といい、分泌される水分をいう。胃液、消化液、涙、唾液、尿、関節液などの体液です。むくみは水毒の状態。体の中の水分の配分がアンバランスで水を追い出す「利水剤」使います。
次いでインド5千年の生命科学の「アーユルヴェーダ」の体質は、五つの元素「地・水・火・風・空」のエネルギーと三つの性質「ヴァータ・ピッタ・カパ」が心と体に影響を与えるとする。まず、存在するものすべては自然の五つのエネルギーからできていると考える。晴れた日は火のエネルギーが強くなる。体調や心の変化もこの五つのエネルギーの増減で考え、シンプルな暮らし方や生き方の知恵を教えてくれる。
「地」は、母の様に安定した地のエネルギーで私達をしっかり支えます。身体では骨格や筋肉です。穏やかで落ち着いている人など。キーワードは「仁」と「愛」。不足したら自然の中で土に触れたり、土の中の根菜類を食べます。周囲はあなたで安らぎや愛情を感じます。地の要素は安定・穏やか・思いやり・落ち着き等です。「水」は、潤い、流れる、しなやかなエネルギーです。上から下に流れる性質をもち、血液、リンパ液など体液は影響を受けます。順応性を持った人など。キーワードは「礼」と「平和」。目立つことをせず、騒がない人。水の要素は、涙もろい、なじむ、変化を乗越える等。「火」は、変化、動きを与える。生きるみなもと。体温、消化、酵素分泌、代謝を司る。積極性がある。キーワードは「正義」と「達成」。自分の道に口を挟まれたくない人など。火の要素は、情熱的、変わりやすい、勇気、効率等。「風」は、なびく、変わる、全てを動かす原動力のエネルギー。呼吸を動かし、火と風で血液を呼吸で流す。想像力で悟りを開き真理を追及し、発想が豊かなど。キーワードは「智」と「真理」。いろんなことに興味を示す人など。風の要素は、自由に動く、変わりやすい、直感が鋭い、情報に敏感等。「空」は、あらゆる可能性を持つエネルギー。入る可能性のスペース。落ち着いていてあくせくせず、見返りを求めず、心にゆとりをもっている人など。
これら五つのエネルギーの組合せで次の基本の三つの性質が構成される。「ヴァータ」は、風と空の組合せ。運動と分解を支配し、作用は軽さと動き。「ピッタ」は、火と水の組合せ。変換と代謝を支配し、作用は熱と鋭さ。「カパ」は、地と水の組合せ。構造と合成を支配し、作用は重さと安定。
三つの性質のうち、どの性質を一番多く持ち、どれが一番増えやすいかという本質は、人によってある程度決まっているといわれる。また、時間帯や季節、年齢や生活環境などによっても、五つのエネルギーの影響を受けて、三つの性質は増えたり減ったりします。われわれはエネルギーを意識してナチュラルに暮らしましょうと、絞められました。会場では、自分の生活でもこれを有効に活用しようと感じながら、拍手喝さいが続きました。
2 「介護施設の現状と課題」
㈱ウイズネット 取締役副社長 髙橋利憲様
梶原代表から、グループホーム等の介護施設を幅広く立ち上げ経営されている若手経営者との紹介で、長身の精悍な若手経営者髙橋講師が登場され「介護保険制度の最新動向~地域包括ケアシステムの考え方と今後の方向~」が始まりました。㈱ウイズネットはWelfare Infor-mation Service Networkで幸せをご案内する会社。本社は大宮にあり、埼玉県・東京都・神奈川県を商圏とし、施設サービスではグループホーム(認知症対応型共同生活介護)、介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅等を経営し、また在宅サービスでは訪問介護、デイサービス、ショートステイ等を実施し、介護問題の総合相談や人材養成研修も実施している。ただし、通所リハビリと訪問入浴はやっていない。独居で外出せず近所との交流のない生活は避けた方が良いとの発想から。平成10年保険会社勤務の父親が会社をやめ会社を設立し、私も公益法人の勤務をやめ一緒に会社経営。総合福祉事業で新しい世界や地域に根ざした業務に取組み、福祉は地域に根ざすべきと考え、全国展開はしない。埼玉東京神奈川の事業は順調に伸び、現在売上高143億円、施設事業所188か所、従業員3295名。
平成12年に介護保険制度が施行され、行政サービスのみの時代からユーザーの権利と契約での選択の時代になり、父と二人でアイデアと汗を流して努力。16年「痴呆」が「認知症」の呼称に。要介護要支援認定者は10年間で100万人増え現在470万人。個人の尊厳や家庭・地域との交流を大切にする。その基礎となる「人口ピラミッド」では、65歳以上の高齢者は過去最高の2975万人で23.3%。うち前期は1504万人11.8%、後期高齢者75歳以上は1471万人11.5%。女性の寿命は長く割合も大きい。公務員や農業や自営業のかたは仕事を辞めると老いる方も多く、何かの活動をすることは大切。社会保険(年金・医療・介護等)と公的扶助等の社会保障給付費は99.8兆円で過去最高。高齢者給付額は68.6兆円{補注:公的年金給付は54兆円、介護保険給付7.3兆円。国民医療費は37.8兆円、生活保護費は3兆円}。高齢者とこれを支える勤労者の比率が、従来の1/3騎馬戦から1/1肩車さらに3/1雑技団へと厳しくなるのでは。医療予防や介護予防が大切であり梶原代表の話されたアーユルヴェーダの導入の勉強で先日スリランカを訪問した。介護保険の財源は50%が保険料、残り50%は公費で国と地方で半々(地方は県と市町村で半々)。65歳以上の一号保険者は保険料の21%分、40-64歳の二号者が29%分を負担。65歳以上の被保険者は2895万人、介護支援認定者470万人。申請者は年500万件。都市部は若者の流入はあるが、高度成長期に都市部にきた者の高齢化が進み、医療や介護のインフラ整備が地方より深刻になる。高齢化率は、神奈川県23.1%、東京都20.4%、埼玉県20.6%、大阪府22.3%、千葉県21.0%。今後、65歳以上の認知症が増加、単身世帯や夫婦のみ世帯が増加など都市部での急速な高齢化等を御指摘。2015年には団塊の世代と戦後ベビーブーム世帯が65歳以上に、2025年には75歳以上に。
国はこれらへの対策として平成21年「地域包括ケア研究会報告書」を発表し、1自助・互助(近隣の助け合いやボランティア)、共助(社会保険等の制度化された社会保障)、公助(貧困者対策)の考え方、2「地域包括ケアシステム」として高齢者が地域で自立して生活を営める「日常生活圏域(30分中学校区程度)」での「住まい・生活支援・介護・医療・予防」の提携と切れ目ない継続的な提供を規定。そして「在宅介護の可能性を最大限に追求する」具体的取組みとして、1医療との連携強化、2介護サービスの充実強化、3予防や自立支援の推進、4見守り・配食・買い物等の生活支援サービスの確保を一人暮らし・高齢夫婦世帯等に実施、5「サービス付高齢者住宅」を高齢者住まい法に位置づける等を報告。
これを受けて介護保険法等の改正が行われ、1医療と介護の連携の強化(保険者(市町村)の判断での予防給付と生活支援サービスの総合的実施等)、2「サービス付高齢者住宅」{補注:市町村登録で安否確認と入居者生活相談は義務で、その他支援は任意}の供給等、3認知症対策の推進、4保険者(市町村)による主体的な取り組みの推進(介護保険事業と医療サービス、住まい計画との調和の確保、地域密着型サービスの公募・選考による選定を可能に)、5保険料の上昇の緩和等を規定。この趣旨は費用を全体として減らし、地域で対応する、家庭での対応を中心とする制度の改正と思う。「サ高住」には100万円補助で3000億円3万戸で建築業界の仕事は増える。在宅介護を民営の方向への趣旨でもある。これにより地域密着型サービスに「定期巡回・随時対応型の訪問介護看護」及び「複合型サービス」を追加し、地域密着型介護サービス費を支給するとされた。具体的には朝昼夜の1日3回で1回20分未満の巡回、重度化しても施設並みのケアの提供を住み慣れた自宅や地域での高齢者住宅の生活を継続する趣旨。しかし同居家族の負担も大変で、費用は有料で見守りや食事も一部のおそれも。訪問は月2回で5万円が限度。働く人も訪問が雨の日や夜間は大変と思う。介護療養病床の廃止期限は6年延長{補注:公的にはほかに特別養護老人ホーム・特養、老人保健施設・老健、シルバーハウジング(公営住宅)など}。「サ高住」も埼玉県だけで6万戸の空き家がある中での対応となる。入居一時資金の制限の問題も従来は2-3百万円、場合によっては数千万円だったので良かったが、対応が核家族の中では厳しいこともあると思う。認知症の認定者のサポートはオレンジ色のバンドをつける場合があるが市町村の認定基準も必ずしも十分ではない。
また「介護予防・日常生活支援総合事業の創設」で保険者(市町村)が関与できるようになり、1市町村の判断で、要支援者・介護予防事業対象者向けの介護予防・日常生活支援のサービスを総合的に実施できる制度の創設、2市町村・地域包括支援センターが、予防給付での対応か、新たな総合サービス(地域支援事業)を利用するか判断、3見守り・配食等を含めた生活支援の総合的で多様なサービスの提供が可能に。しかしこの場合、グループホームや老人ホームに住民票がある市民しか入れないかも知れない。また地域によっては通いやショートステイの施設は30人以下の施設や住宅に限定し、25人以下に限定する動きもある。当社は志木市等の地域包括支援センターを経営している。全国では4.3万の介護施設があるが、朝昼晩3回で1回20分の対応が進むかどうか。また従来のような複合型(小規模多機能型居宅介護・訪問看護)での数社の協働によらず、複合事務所一社の選定となり、選択と集中が進むと思う。大手ゼネコンや損保会社やその子会社が参画してきているが、地域に密着した事業対応が一番大切と思う。行政も実態を見た努力が必要。介護職員の不足は2025年には100万人になると思われる。職員の質の向上だが、ヘルパー2級資格の訪問介護員は従来180時間の研修だったが、今度の初心者研修は300時間必要といわれる。建設業も若い人が3Kで集まらないといわれていたが、介護職員も若者は大変で、高齢者の利用も考えることも。当社は介護問題全般をワンストップサービスで真摯に無料で相談に応じている。ターミナルケアとして人生の最後をみとる仕事だが、電話をもらえば相談に応じます、と絞められ、拍手喝采が続きました。
また会場では、在宅や施設のサービスや介護法制や運用を全般的に紹介した「介護サービス利用ガイド」と会社案内と施設マップ付きの「ワンストッブ介護サービスの提供~在宅介護サービスから入居施設サービスまで」の素晴らしい資料が配布されました。また健康食品ファイトケミカル紹介もありました。我々の関心の高い介護問題の制度と現地での営業内容とその難しさのお話、本当に有難う御座いました。最後の質問時間、梶原代表から、いろいろの市民や患者中心の勉強会もしているので、特に新しい「予防事業」制度等の具体的対応では協力しあいたいとの発言があり、特に本年度から導入された機能訓練では、先日認知症等の予防や改善の書籍を発行された小川真誠さんの心身機能活性運動等も大いに関係するのではないかとの紹介もありました。
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