市民本位の健康医療に向けて

第63回(6月)定例会報告(メモ)

2013年6月30日 by KISK事務局  


6月定例会は25日、両国にある㈱玄米酵素東京支社のエコロホールにて開催。隅田川の東ということで、やや遠くなった人もおられますが、いつもとほぼ同じ30余人の参加。同社は、食事に関しての講演、セミナーを重視している会社らしく立派なスクリーンが設置されていました。当面、ここが主な会場になる予定で、使用させて頂くことに感謝。

1)中間報告  梶原代表

前回の定例会の金岡先生の講演の簡単な復習、今回の江木様のご紹介と、次回7月の定例会の予定と講師・桧田仁先生の紹介等がありました。患者・市民の自衛策としては、農水省に交付金を申請しているプロジェクト「健康道場」の紹介がありました。

2)「農村に企業と提携『健康道場』を!」 梶原代表

kaji1現在、代表が中心となって進めている「健康道場」について説明がありました。その趣旨は、農村に都市(企業)と共同で、農水省の交付金を活用して、豊かな自然の中で「認知症」や「うつ病」の予防や改善を行う。企業の従業員は「健康づくり」をしながら農作業やお祭りへの参加で農村社会、農村文化の維持に協力する。農村を「健康空間」だけでなく、「業務空間」「学習空間」「収納空間」「避難空間」などとして多面的に活用し、「都市エネルギー」による地域の活性化を図る、というものです。

認知症とかうつ病はますます大きな社会問題となりつつありますが、現行の医療・介護制度では病院や介護施設の経営上プラスにならない―治療・改善するのにお金がかかり、改善すれば収入が減るという患者不在の仕組み―ようになっているので医療・介護の財政負担は増えるのみ。岡山市では独自に、改善に対して成功報酬を検討中、との報告。

これらの予防・改善のため、統合心身活性法を実践して行く。脳に効く運動療法が中心となる。フィンランドでは、運動が脳に好影響を与えるという考えが一般的。先進国で、運動がこれほど軽視されているのは日本ぐらいではないか。運動療法に加え、食事療法、睡眠・休養法、五感健康法・気力増強法などがプログラムに入る。これらを統合して、相乗効果を発揮。他の、がん、脳卒中、心不全等の生活習慣病の予防や改善を図る。

健康道場は、廃校等を利用した屋内(第1)道場、自然の中で行う屋外(第2)道場を設ける。屋内(第1)では、統合心身活性法を実践。レクリエーションの要素を加味したトレーニング「レクトレ」となる。屋外(第2)では、作業療法が中心。ウォーキングや森林用、農作業、温泉浴などを考えている。

その他、都市農村交流フォーラム、事業モデル策定委員会の案などが紹介されました。

最後に、この事業は、憲法第25条「生存権」に基づいていること。市民が、健康、医療に関して、知る権利、学ぶ権利、行う権利、伝える権利の行使であると確認がありました。

3)講演「生活習慣病予防の指針と健康生活検定」㈳健康生活推進協会専務理事 江木佐織様

egi_sensei講演の前に、㈳健康生活推進協会の「健康生活検定公式テキスト」(初級編)を同協会から頂き、配付しました。江木様の自己紹介。広島の生まれで、被爆2世。いとこ3人のうち、20歳を迎えたのは自分一人。子供のころから自分の健康は自分で守る、は身についている。中国新聞で記者とかキャスターを経験。岐阜県主催で、岐阜にゆかりの人たちが中心で集まって開いていた懇親会・三木会で、同じように健康に関して強い関心をもっておられたテレビ朝日の小松宣俊様(協会代表)と知り合い、2002年に一緒に立ち上げたのが㈳健康生活推進協会。ただの講演よりは、検定を入れるとただの講演より集中力が増す、ということで5年前に検定を導入。これまで、国立健康・栄養研究所での栄養指導者の試験の講座、携帯電話で若者が健康の検定を受けるフジテレビでの検定ジャポン、東京商工会議所の健康知識測定テスト(企業の社員向け)などのコンテンツを提供。

健康日本21の内容が今年の4月から変更。介護を必要とせず、自分で生活できる健康寿命が重視される。平均寿命と健康寿命は、男性で9.22歳、女性で12.77歳の違いがあり、その平均10歳前後の要介護期間が大きな問題。団塊世代が要介護期に入るとお金だけでなく、介護する側のマンパワーの問題も大きくなる。

egi_sensei2成長期の若い女性のダイエット、痩せすぎは、胎児に大きな影響を与える・・・胎児時に飢餓状態にあり、生まれると大食い、大飲みして肥満になり易い・・・のでよくない。やせ過ぎの女性の比率を国際的に見ると、たとえば、BMI18.5以下の比率では、上位国は発展途上国ばかりなのに、日本が10番目に入っている。最近の3大死因が50年ぶりに変化。がん、心臓病についで肺炎が、脳卒中に代わって入った。脳卒中は減り気味。肺炎が増えているのは高齢化の影響。

今、高齢者のやせ過ぎが問題になっている。たとえば、BMI が18 以下の人。がんなどの病気との相関が言われている。メタボ・内臓脂肪症候群の自己チェックとして20歳の時と比べて10kg増えているとよくない。

厚生労働省の標語。1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬。国立がんセンターのホームページの一般の方へ、という個所を見ると、データが一杯ある。がんに対する予防、治療に関する情報が一杯得られる。また、運動が実に大事か、運動不足がよくないことだと言うことがわかる。

病気の予防は1次~3次。1次は「発病を防ぐ」、2次は「早期発見・早期治療」、3次は「病後の機能回復・再発防止と社会復帰」。

食事の面で、昭和30年ごろに強調されていたのは、肉や魚の栄養でしたが、今は、ごはん、パンなどの主食、野菜、海藻などの副菜に次いで3番目になっている。

今、野菜は黄緑色、淡色合わせて1日350g食べようという指針があるが、これが出来ている年齢層は全くない。ジュースにすると、必ずしもその重さの野菜を摂取したことにはならない。

運動は、目標1万歩で。閉じこもり、うつ病予防には4,000歩以上が必要。目安としては、10分で1000歩。認知症予防には5,000歩以上。生活習慣病予防には8,000歩以上など。これらは根拠ある数字。健康維持・増進のための有酸素運動に効果的なものは、運動中は適性な脈拍数を保つことが大事。適正な脈拍数(1分間)は、138-(年齢/2)で算出。75歳前後なら適正な脈拍数は100前後となる。

昔は、運動中は水分を補給しないという教えがあったが今は逆。運動中でもどんどん水分を補給するのが常識。

高齢者が身体を動かさないと骨の委縮や関節の機能低下を招く、廃用症候群を招く。データでは、6週間寝ていると筋肉は健康な人の4分の1に。

歯について、8020 (80歳で20本が自分の歯)、6024(60歳で24本)という指針がある。最近、歯周病と糖尿病との相関が言われている。歯は早目の治療が大切。

以上の内容について、数分の試験を実施。本来は75%(12問中9問)出来ていれば合格とのこと。聞いたばかりのことなので、多くの人が合格ラインに達していた模様。

nowhere最後に、日本人の幸福度が低いことなどへの疑問とか、年金をもらう前に亡くなったご両親のことを思い出されながら、感謝する心があれば長生き出来て、幸福なのではないか、ぜひ幸福度を上げて行きたいという気持ちを述べられて講演を締めくくられました。江木様、どうもありがとうございました。幸福に関して、梶原から、青い鳥はどこにいるか、NOWHERE(どこにもいない)をNOW とHERE と分けて読む(ここにあり)・・・ものは考えようという例を提示。人づきあいから日頃の生活まで、心の持ち方は、体の健康にも大きな影響を与えるという話をしました。

会場から幸福度の話、特に男女差に関して、男性は仕事に生きがいを感じて幸福を感じるが、仕事を辞めると180度変わる。そこをどう埋めるかは幸福度に差が大きいのでは、という質問。江木様の答えとしては、そのとおりで、男女の寿命に差があるのはそこにあると言う説も。やはり、そこの生き方は大切。仕事を辞めて30年生きるということは、残りの人生と言うより、新たな人生として考える必要。団塊の世代がどんどん辞める前に、考えましょう。

心身の健康は確かに大切ですし、健康寿命も大きなことですが、一方、幸福度の問題も同じように大きな問題。市民会議としてもぜひ考えましょう。

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