「日本再生研究会」サイトの再開と「健康医療市民会議」の立ち上げについて
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平成20年(2008年)1月00日 |
日本再生研究会 代表 梶原 拓 |
これまで諸般の事情が重なり、「日本再生研究会」のサイトを閉じていましたが、平成20年(2008年)の新しい年を迎え、新たな気持ちで、新たな観点よりサイトを再開しますので、よろしくお願いします。これまで活動の休止により、ご期待に沿えなかったことを深くお詫びします。
これからは、過去の経験と反省を踏まえ、市民の身近な問題である健康と医療のテーマに焦点を当て活動いたします。このため患者・市民の立場で健康と医療を考え、行動する「健康医療市民会議」の立ち上げに日夜奔走しているところです。この2年ほどは、構想を練り、多くの方の意見を聞き、同志を求め、いわば「あひるの水掻き」ともいうべき努力を重ねてきましたが、心ある方々のご理解とご協力により、ようやく構想もまとまり、会議の中核となる有識者のリストも固まり、ささやかに東京都港区浜松町に事務所も構え、今年は本格的な展開が図れる態勢が整いました。
かねてより日本再生のためには、明治以来の強力な中央集権体制、それより派生した旧体制、制度疲労の極限まできた「明治レジーム」を打破し、地方分権、地域主権の時代を拓くべく努力して参りました。一昨年は「日本市民会議」の立ち上げを図りましたが、予想外の出来事もあり、当初の目的を達成することはできませんでした。この間、支持していただいた方々に多大なご迷惑をおかけしたことにお詫び申し上げなければなりません。
国と地方との関係では、いわゆる「三位一体改革」も中途半端に終わり、かってない国からの3兆円に及ぶ大幅な財源委譲が実現できましたが、反面巨額の交付税削減があり、国の権限は殆ど委譲されませんでした。そして今日、自治体は財政難で四苦八苦しています。当時、「闘う知事会」全国知事会長として政府・与党と折衝にあたってきましたが、その間、一緒に闘った自治体の仲間に警告してきたとおりの結果となっています。
「三位一体改革」は、もともと国の財政難から企画されたものであり、地方分権の理念から出発したものでありません。国の財政再建だけでは不味いので地方側の要請も抱き合わせたという経緯があります。地方分権の衣の下には赤字の付け回しの鎧が見えていました。小泉総理は「地方で出来るものは地方で」と勇ましく掛け声をかけておられましたが、「郵政改革」が浮上してきて、その後「三位一体改革は話し合って調整してくれ」とトーンダウンしてしまいました。そのとき、補助金、義務教育費の問題など、もう妥協の道しかないと判断しました。総理のトップダウンの決断がなければ政府・与党の厚い壁は破れない状況でした。
一緒に闘った自治体の多くの同志は、理念や理屈で押せば何とかなると思っていたようですが、甘い考えでした。私は、「理論は飾りで勝負は力だ」と常に警鐘を鳴らしていました。町村会が中心になり国政選挙で動員力のある市町村議会議員の政治勢力の結集を図ってもらいました。その後どうなりましたか。政治の世界は力です。地方分権は行政レベルでなく政治レベルの闘争なのです。政府・与党の幹部に陳情して回ればいいと錯覚している知事や市町村長が未だ少なくないのが実情です。危機感や責任感に欠けています。勉強不足でもあります。
「三位一体改革」を通じて痛感したのは、肝心の市民・国民の無関心です。国と地方の綱引きだ、という程度の認識が一般的でした。地方分権は住民の生活に重大な関わりがあるにもかかわらず、世論の盛り上がりに欠けました。我々自治体の啓発も十分でなかったと思いますが、もともと日本では、地方自治が住民パワー、市民革命で勝ち取ったものでないことも要因の一つです。また、地方分権が国から自治体に権限や財源を移すだけだと思われていることも問題です。自治体の首長にも、そうした考えの人がいます。
自治体に権限や財源が委譲されたら、それが直ちに「住民自治」に繋がり。その権限や財源が真に住民・市民のものにならなければ意味がないのです。情報公開と市民参加を徹底して、真に住民・市民のニーズに合った行政・財政が執行されなければなりません。これが地方分権の目的であり、「市民主権」の確立となります。反面、市民の責任も重くなります。
我が国では、長く中央集権の時代が続いたため「国任せ」の意識「甘えの構造」が後遺症として根強く残っています。国は、もはや、かってのように金も力も持っていません。地域も住民も、それぞれ個性と能力を発揮して頑張らなければ、閉塞した日本の再生はできません。「画一性の日本」から「多様性の日本」に脱皮し、創意と工夫で国民・市民が行動してこそ、激変する世界の荒波を柔軟に弾力性を持って乗り越えて行くことができるのです。
市民主権の確立に向かって「日本市民会議」を立ち上げようとしましたが、予想外のこともあり、その意図を達成できていません。特別の事情もありましたが、まだまだ幅広く市民主権の主張ができるほど市民が成熟していないこともあります。戦略的には、先ずは市民生活に関係の深い分野から始めるのが効果的だと考えるようになりました。それが健康や医療の分野です。
個人や家族にとって一番大切な命や体を自己責任で守る意識を高めることが市民主権の確立に繋がって行くことになります。大切な命を手近かな医師や病院に「丸投げ」しているのが現状です。もちろん受け皿となる医師や病院には信頼できる方々が多いのも事実ですが、中には、技術、能力、経験、意欲あるいは情熱に欠けるところもあります。そうでなくとも今の医療制度は問題を抱え、限界があり、患者がその犠牲になることもあります。総じて患者不在、市民不在で制度や政策ができているのではないかと思われる面もあります、それらの運営も患者・市民不在でなされている場合もありましょう。「患者さま」と持ち上げられてはいますが、言葉だけに終わっている場合もあります。
一方、医療過誤の問題では、ときには医師が刑法犯で処罰を受け、また医師や病院が過大な損害賠償を支払うケースも出てきました。医師や病院は、良心的なところでも、治療のため、あえて新しい技術や手段で挑戦しない風潮となってきています。治る病気も治らなくなります。医療訴訟の多い産科や小児科が医師不足で各地で問題が頻発しています。「患者さま」が出過ぎれば結局のところ被害者は患者ということになってしまいます。不合理、矛盾、欠陥、問題に満ちた医療の世界となって行きいます。
残念ながら政治も行政も過去の体制が崩れ、国家財政も危機が迫り、混迷の状況です。健康や医療の政治・行政を正しい方向にもっていくのは患者・市民しかありません。最大の利害関係者ですから。その責任を放棄すれば直ちに被害は患者・市民自身に跳ね返ってきます。それほど深刻な事態になっています。やがては病気や病死者は減らないのに医療費だけは嵩み、個人も家庭も自治体も国も「医療費破産」の破局に追い込まれてしまいます。企業も、医療費負担が増えて困るが、病欠や病死で有能な人材を活かせなくなってしまいます。
このような観点から、「日本市民会議」活動の延長線上で、その新たな展開の一環として、健康と医療に特化した「健康医療市民会議」創設に向かった次第です。先ず市民の最も関心の高い健康・医療の分野で市民主権の意識を浸透していけば、その先、その他の分野でも意識革命が及ぶのではないかと期待しています。
「急がば回れ」との諺もあります。
私自身、個人的に健康については関心があり。勉強してきましたが、岐阜県知事就任後、県民の健康政策を重点的に取り上げ、各種の事業を進めてきました。
(健康医療履歴)
(健康医療市民会議準備会への経過)
(健康医療市民会議規約案など)
(健康医療市民会議で実施したいこと)
健康医療に関し必要かつ十分な情報を共有するため信頼できる有識者のメンバー組織「信頼の母集団」〜「健康医療市民会議」(KISK)〜"情報コミュニティ元気村"を創る。
KISKは、経験豊かな高齢者(70歳代中心)が中核となって立ち上げる。
メンバー個人の健康・医療情報をメンバー間で交換し、メンバー全体で共有する(「個人知」から「組織知」へ)〜交流サロン、メール、ファックス、アンケートなど〜いい健康・治療法、いい医師・病院情報〜
一般に知られていない先端・最新技術、現実に成果を挙げている健康・治療法、幅広い分野の技術や経験を動員する統合医療の実践状況などの定期研修会を開催する。当面、がん、脳・心臓疾患、認知症の三つに重点を置く。
いいと思われる技術や商品をメンバー有志がモニターとなって確かめる。
いいと思われる健康・治療法や健康農業の実践現場にメンバー有志が出掛けて確かめる。
「自分の健康は自分で守る」ため「自然治癒力を活かし自己治癒力を高める」学習塾を開く。
メンバー参加の下、「自然治癒力」と「自己治癒力」を基本に体系的な「市民健康テキスト」を作成する。
(そのスケルトン案)
市民向け健康医療参考図書・資料をメンバーに紹介する。
(その紹介例)
健康医療メディア情報を要約し、メンバーに紹介する。
(その紹介例)
学習の各論として
「がん治療研究会」
「脳・心臓疾患研究会」
「認知症研究会」」
「統合医療研究会」
「先端技術研究会」
「医食同源研究会」
「サプリメント研究会」
「フィジカル・トレーニング研究会」(スポーツ、ウオーキング、健康体操)
「メンタル・トレーニング研究会」(音楽、気功、座禅、瞑想、祈り、笑い、公徳心)(サイモントン療法)
「インテレクチャル・トレーニング研究会」(脳の訓練)
いい健康法、いい治療法、いい医師、いい病院を公正に評価し、メンバーが共有する。(評価委員会)
公私の保険制度を評価し、必要な提言をする。市民ニーズに合った制度を探求する。
現行の健康・医療制度・政策を評価し、必要な提言をする。
「自分の健康は自分で守る」風潮を高める市民運動・国民運動を展開する。
「信頼の母集団」(元気村)の基礎固めができたところで、インターネット上の活動「ゲンキコミュニケーションズ」を本格的に展開する。
有料メンバー制で「信頼のネット集団」(元気ネット村)を構築し、「元気村」類似の活動を行う。とりあえずは、KISKのホームページを拡大・充実する。
信頼できる患者の会など関連組織・団体とネット上でリンクを張るほか、ポータルサイトを設け、健康・医療情報のナビゲーター機能を備える。
上記の活動を計画的かつ段階的に実現して行く。
「健康医療市民会議」の前途は多難で、その道は平坦ではないと予想されますが、出来るだけ多くの方々に理解を求め、心ある同志とともに険しい道を一歩一歩、着実に進んで参りたいと決意しております。よろしくご理解、ご協力のほどお願いします。
なお、「日本再生研究会」は存続し、引き続き地方分権運動などに息長く取り組んで参りますが、一昨年「日本市民会議」に入会いただいた方は、「日本再生研究会」の責任において「健康医療市民会議」の会員として遇することといたしますので、ご理解願います。
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